第一章 睦月 #8 共感する(きょうかんする)
睦月は口ずさみながら、かつて彼に語った新しい詩を詠んでいた。それは年沁が學生の頃に一時の気まぐれで作った詩だった。詩の內容はこうだった...
『逝く』
私は私を見る、あなたはあなたを見る
馬鹿げている
お互いを消耗するほど馬鹿げている
あなた、私
かつての美しい思い出
かつての幸せ
かつての喜び
かつての共に過ごした時間
かつてのあれこれ
すべての貴重な時間
全てが
消えてしまった……
逝ってしまった。
彼は扇子で風を扇ぎながら詠んでいた。睦月は孤獨と喪失を隠せず、長い夜を過ごした。
翌日の朝、睦月はまだ年月天の側にいたが、年若い年月天は、睦月が今日は以前とは違うように見えることに気づいた。彼女は今日はいつもと違って少し暗い雰囲気を放っているようだった。
新しく迎え入れた子貓の小萌は、その狀況を非常に賢く感じ取り、睦月のそばにゆっくりと近づいてきた。小萌はまるで魔法のようで、睦月は彼をなでることで徐々にリラックスし、笑顔が広がっていった。
年月天は睦月が再び笑うのを見て、不安そうな心を少し安心させた。年月天は小さな子供ながら共感力と感受性が非常に強い子供であり、これらの能力は年沁から受け継がれたものだ。
睦月は年月天を見て、突然ゲームをすることを思い立ち、彼は一瞬で年月天の目の前から消え、かわりに小萌が周りを見回していた。小萌はかわいらしい姿で一生懸命睦月を探そうとしていた。年月天は小萌のかわいい姿に深く引き込まれ、睦月の聲が耳に屆くと、どこにいるかわかるか?と言った。
年月天は聲の方向を見て、指を差し出し、睦月が再び現れると、年月天の頭をやさしくなでながら、彼を褒め稱えた。「さて、今はどこかな?」と睦月が言うと、彼は再び目の前から消える。年月天は慌てず騒がずに、小萌の後ろにある機の橫の壁を見つめ、確かな手つきで一角を指し示した。睦月は再び現れ、年月天の前に歩み寄り、扇子で風を送る。まるで年月天を勵ますように見えた。
睦月は思った。やはり十二月天の印を持つ者はすごい。年、霊力は本當にますます強くなっている。これで今後の試練に立ち向かうことも問題ないだろう。