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第一章 睦月 #5 としのひめ

その日、年月天は小さな機に腳を組んで座り、一冊のアルバムを見つめていた。アルバムには、女性が赤ん坊を抱いている寫真がたくさん詰まっており、その女性こそが年月天の母である。幼い年月天は、睦月に自分が生まれたことを尋ねる言葉を投げかけた。睦月は微笑んで答えなかったが、睦月の頭の中では、年月天が生まれた時の様子がゆっくりと思い起こされ、今でもその記憶は深く殘っている。


年月天が生まれた時、家の中は大きな変化に見舞われたようだった。當主である年の父、母、執事、女中たちはこそこそと話し合っていた。歴代、歴代の年家の「年姫」はすべて女性であった。なぜなら、人々は男の子を産むことには何の問題もないと考えるかもしれないが、年家にとっては大兇の兆しであった。


なぜなら、「年姫」は歴代の年家の守り神であり、國や時代全體の平和と繁栄を守ってきた存在である。通常、これは「年」家の子孫で女性が受け継いできた役割だった。その守り神は十二月天の守護精霊と交信できる力を持っている。この力を持つ者だけがその役割を引き継ぐ資格を持つのであり、年家で生まれた女性が必ずしもこの力を持っているわけではない。しかし、この力を持つ女性は、「年姫」としての地位を受け継ぐ資格がある。その人は左手の名指し指の裡に、鮮やかで明確な守護神の印を持っている。彼女は十二月天の守護神や精霊と交信することができる。


この鮮やかな印は非常に神秘的であり、現在の「年姫」が後継者に引き継ぐ際、この印は前代の「年姫」から自然に次代の後継者に移る。まるで選ばれし者のように。そして今回、この守護神の印が年月天に移され、この鮮やかな印の名前は「十二月天」と呼ばれる。


家族にとって不可解な存在と見なされた年月天は、幼い頃から本家の周辺に追放された一軒の屋敷に住んでいた。その家は本家の豪華さはないものの、やはり年家の子孫であり、居住地域と比較するとかなり上品なものだった。年月天は母親と一緒に暮らしており、母親は前代の「年姫」であった。しかし、六歳の時にある事件が起こり、彼は一人暮らしをするようになった。食事は本家の使用人、執事、女中が用意してくれた。


睦月はこう考えながら、年月天を見つめながら彼の頭をやさしく撫で、愛情と思いやりに満ちた目をしていた。彼に、失ったすべての愛情をしっかりと與えてやりたいと思っていた。睦月は無口だが、その行動はすべてを物語っていた。


そして、年月天も睦月の動作から隠された意味を感じ取ったようで、安心して彼の腕の中で眠りについた。

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