第一章 睦月 #4 やきもちをやく
數日前から、公園に向かう途中で「こもえ」と偶然出會って以來、年月天は彼と遊んでいる。彼女は、彼の粉色の小さな足を撫で回すことがよくあり、また彼女の顔を近づけて「こもえ」の貓の匂いを楽しんでいる。
睦月は、彼の行動の意図が全く分からない。彼も年月天と同じように、頭を寄せて力強く吸ったが、「こもえ」の毛でくしゃみを連発し、困り果ててしまった。
年月天は、睦月の珍しい表情を見て、顔を上げて大笑いし、一方で「こもえ」は橫でにゃんにゃんと鳴いて、勝者のポーズを取っている。
睦月は「こもえ」の様子を見て、怒っているようで笑っていて、自分の扇子で手をたたくようにしている。
この數日間、年月天と「こもえ」との遊び時間が増えてきたため、睦月は少し無視されたような気がしていた。彼女は一人、あるいは神と言った方がいいかもしれないが、壁際に座って両膝を抱え、とても寂しそうに見え、今、いつもよりも寂しそうな表情をしている。たとえ睦月がいつも無表情であるとしても。
年月天がこの光景を見て振り返ると、睦月のそばに走ってきて、彼女を軽くたたき、「どうしたの?」と口を開けて言う。その間、「こもえ」はぴょんぴょんと歩いて、年月天と睦月のそばにゆっくりと近づいていった。
睦月は、顔を上げて年月天を見つめ、「一緒に…」と恥ずかしそうに言った。
年月天はようやく気づいた。睦月が嫉妬していたことに。微笑みながら、「見て、僕のために拾ってきた新しい友達、『こもえ』、とても好きだよ」と言った。
睦月はようやく扇子を置き、手で「こもえ」をなでなでし、小さな聲でにゃんにゃんと鳴く「こもえ」に觸れて笑顔を見せ、年月天が彼らを見て笑い出す。