1話 始まり
「お〜い伊織」
誰よりも早く登校して本を読んでいた俺にそう声を掛けてきたのは、親友の柳悠人だった。
「どうした?またゲームか?」
「おっ、正解。伊織はセカストって知ってるか?」
「流石に知ってるよ。もうすぐ発売されるVRMMOでしょ。それがどうしたの?」
「それがなぁ〜セカストのβ版をテスターした後に特典としてもらったんだよ。」
「まじで!」
セカストとは、『Second story:online』というゲームの略称だ。1週間後に発売されるというそのソフトはβテスターから非常に高い評価を受けていた。俺は悠人ほどゲームを調べることがないが、ニュースで連日報道されていて少しだけ知っていた。どうやら今まで複数のゲーム会社が挑戦していた体感時間の延長に世界で初めて成功したらしい。
「お前βテスターだったのか。体感時間の延長はどんな感じだ?」
「あーなんか変な感じだ。慣れると感じないけどゲーム内で2日経ってるのに現実だと1時間しか経ってないみたいことが起きるから結構混乱するぞ。頭が痛いとかはないけどな」
「痛みがないのはいいな。その特典ってまだある?」
「おう。だから伊織にもやって欲しいんだよ」
「よっしゃ!ゲームとか久しぶりだから気になってたんだよ。」
「最近はずっと本読んでるもんな伊織は」
「最近のマイブームなんだよ読書は!」
「まぁ良いけどよ。なにをやるかは決めておけよ」
そういって話を切ると同時に教室の扉が開き、次々とクラスメイトが集まってきた。
その日の帰宅後、俺はセカストのサイトをみて設定やストーリーをみていた。セカストは名前の通りもうひとつの世界を作るというプロジェクトから作成されていて、ファンタジーの世界を舞台に『何でもできる世界』をつくったという。どうやら職業等も数えきれないほどあり、常にAIが行動に合わせて追加したり、スキルがなくても技術だけで問題なく動けるなど他のゲームよりも圧倒的に自由度が高い。悠人は魔法剣士をつくっていると帰るときに教えてくれた。
どんな感じにするかを悩んでいた伊織だが、1週間たちソフトを悠人から貰うとその場のノリで決めようと思考を破棄した。帰宅後、早速伊織はソフトをVR機器に入れスイッチを入れる。電源が入ると同時に浮遊感に襲われ目の前が真っ白になった。
この作品が初投稿になります。余り期待せずになんかやってるなぁと思って頂いて大丈夫です。気が向いた時に見に来てください。また作品に関する意見やミスなどがある場合は是非教えて下さい。