1話 勇者誕生!
本日より小説家なろうにて投稿を開始します。みなさんの暇つぶし程度にはなれば幸いです。
「おい!!てっめぇ!!!こんなとこでなにしてやがる!!!!!」
「ちっ、あ〜もう、うっせ〜な〜」
突然、耳の中をスピーカーで爆音に流したような怒声が唐突に流れ込んできて目を覚ました俺、長谷川隼人はせっかくの惰眠を邪魔された相手に舌打ち混じりで文句を言って顔を上げると見ず知らずのおやじが鬼の形相で俺を睨みつけていた。
え?誰?この人
「お前、人の家の馬小屋で何勝手に寝泊まりしてやがる!?」
は?俺は自分のベットの上で寝ているはずだが?
てか、おっさんこそ僕の部屋に不法侵入ですけど〜?
まだ、回らない頭を一生懸命働かせ周りの状況をよく確認してみたら、木のケージが四方を囲み俺がベッドにしていた場所は大量の藁が積まれていた。
「っっえ?はっ?っあ?」
今の状況がよく分からずしどろもどろしていたらおやじはものすごく太い腕で俺を逃すまいとするように肩をガッチリと掴んだ。
「今日から1週間ここで働け!」
どうやら俺は異世界に来てしまったらしい…
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その日異世界に飛ばされた俺は馬小屋に転移するというなんとも格好悪い転移をしてそこの家主のおやじさんとこで一週間働くことになった。
唐突に異世界転移したので当然無一文!
無一文だと知ったおやじさんは俺の頑張り次第で明日から給金をくれると言ってくれた…
ありがとう!!おやじさん!
午前中の仕事を終えおやじさんに昼ごはんのお金をもらって色々と店に回ろうとぶらぶらしていたらなんだか大きな広場で人が賑わっていた。
『我こそはと思う者はこの台座にある剣を抜いてみせよ!!!』
そんな看板が大々的に掲げてあり、台座の前には物凄い人の行列ができていた。
なんでも台座に刺さっている剣を引き抜けたものはこの世界の勇者として魔王討伐にいく使命があるらしい。
「ふふ、折角だし俺も挑戦してみよっかな〜どうせそんな都合よく台座の剣を引き抜けるわけないんだし。」
うへへへ、あわよくば俺が勇者に選ばれちゃったりして〜
そんな淡い期待を胸に秘めながら待つこと30分そわそわしながら待っていたら遂にその時がきた。
「君、名前は?」
「ハ、ハヤトです。」
「聞かぬ名だな〜…」
台座の横で審査官をやっている兵隊が不審な眼差しで俺を見つめてくる。
「と、遠い街から来ました…」
「そうか!遠い街から来たのかい!」
全身で冷や汗をかきながらなんとか考えついた出鱈目を口にしたら衛兵隊は嬉しそう顔をして剣の引き抜きを促してきた。
いよいよ待ちに待った瞬間、心臓が妙に脈を打ち、手からは汗が止まらない。
そして両手を柄へ握りしめ思い切り上げようとした瞬間、あれ?軽いぞ?少し上へ上げただけですぅーっと上がる感覚を感じる。
ま、まさか!!!
引き抜いた瞬間の歓声を想像しながら、今度こそ思い切り引き抜いたその時!
ボキっ!
ん?そんな微かに嫌な音を感じながら剣を抜けた喜びで剣を掲げてみせた。
キャァァァーーーー
想像していた歓声とは似ても似つかない悲鳴が広場を覆い尽くしていた。
俺は自分の右手に掲げてある勇者の剣を目にするとそれは煌びやかな装飾の柄にとても役に立ちそうにない半分に折れた剣がそこにはあった。
え?うっそ〜
俺は真っ直ぐに抜いたはずなのに…
どうやら途中で剣が折れてしまったらしい…ってそんなことある?
折れた剣先は床にあられもない姿で横たわっていた。
広場内は慌ただしくなり俺は勇者の剣の器物破損により衛兵隊に王宮へ連行されることになった。
え?待って俺って勇者なんだよね?ね!?
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勇者として招待されるはずだった王宮の間に俺は今、罪人としている。
王宮の玉座に座るのは齢70ぐらいの細身だが逞しい顔立ちの王冠を被った男が座っていた。
「汝、名をなんと申す。」
「ハ、ハヤトです。」
「聞かぬ名だな。」
どーやらこの国では‘ハヤト’って名前は使われてないらしい。王様が知らないって言うなら間違い無いよね!
「ハヤトよ、汝は台座から剣を抜くときに勇者の剣を半分に折ったということで間違いはないな!?」
「はい…」
俺は今にも何かを吐き出してしまいそうなお腹と色々なところから溢れ出てきそう汗を我慢しながら王様が述べた事の経緯に返事をした。
「それでは今からここにハヤトを’この時代の勇者’として王自ら宣言する!!!」
「え!?俺が勇者?」
俺は自分のしでかした状況で頭を抱えていると王様の勇者宣言で一気にこの先の不安が解放された。
キタキタキタ〜!!!!!!!これで俺はこの先勝ち組だ〜〜〜!!!!!!!!!
勇者の剣を壊してしまった俺だが王様の勇者宣言で、もう何も恐れることはないと思っていたが王様の顔を見ているととても不便な笑み浮かべて、とても嫌な予感がする…
「そして勇者ハヤトには勇者の剣を破壊した罪として10,000,000ベリカの借金を負ってもらう。」
「いっ、一千万ベリカ?え?借金?」
「金は、働いて返すか。魔王討伐の成果によって減少する。期日は設けとらんから安心するがよい。」
「…安心できるか〜〜〜!!!!!!!!!!!!」
「ねぇ〜〜〜〜俺って勇者なんだよね〜〜〜〜〜〜」
借金勇者誕生!!!
一千マンベリカ=1億円です。