婚約破棄をめぐるいじわる姉とずるいずるい妹の攻防戦、どちらが正しくてどちらが嘘をついているのでしょう?
「お姉さまがいつも私の大切なものをとるのですわ! ずるい人なのです」
「違います。この子が私の大切なものをいつもとるのですわ!」
両手を引っ張られて僕は抗議され困惑していた。
婚約者(姉)とそしてその婚約者にいつもいじめられているという妹、僕はどっちを信じることにしたらいいわけ?
僕は十五で姉と婚約した。実際、僕は候補者の中から選ぶとき、控えめで優しそうな彼女を気に入ったんだ。でもこうしてみるとかなり気が強いように見える。
そして儚げで優しそうと評判な清楚な妹、彼女も同じように強烈に怖い顔をして僕の手を引っ張っている。どちらもよく似ている。どっちもどっちだよ。
僕は姉には妹はいつもずるいと私のものをとるのですわと言われ、妹には姉がいつも私の大切なものをとるのですわと言われ、どちらが正しくて、どちらが嘘をついているのか困惑するしかなかった。
「……ごめん、証拠がないからどちらが正しくて、どちらが嘘をついているのか僕にはわからない」
正直に言ってみる。すると二人とも魔人のような怖い顔で、嘘はついていませんわと二人同時に叫んだ。
僕は気が強い女の人は苦手なんだ……。
僕はとうとうあきらめて、手を放してくれないかな? と言ってみた。
あ、やっと二人は両手を離してくれた。
「僕はとりあえずどちらが本当のことを言っているかわからないうちはどちらとも婚約するつもりはないよ」
宣言してみたけど、あ、やっぱりよく似ていて二人は怖いや。
でもなあ、僕は姉と婚約して、妹は姉はこんなにも自分をいじめるから破棄してくれと言ってきて。
どうすればいいのか困ってたよ。
「取り合えず婚約は破棄しません!」
本当はもう破棄したい、この二人は怖すぎる。女の口喧嘩は一番怖いよ。お母さまもよく側妃とやりあっていた。だから優しそうな人がいいと思ったんだけど。
僕は二人を下がらせて、どちらが嘘をついているのかうーんと考えた。
そしていい知恵が浮かんだので実行することにしたんだ。
「僕は真実の愛に目覚めたから、リーデルとの婚約を破棄します」
そう宣言してみたら、姉が悔しがり、妹はしてやったりとほくそ笑んだ。
あ、どっちもやっぱり似たり寄ったりにしか見えないやもう。
「真実の愛の相手はあなた方の知らない人です」
「「なんですって!」」
あ、二人の声が同時だった。僕はあなた方の知らない相手でして、そしてあなたたちどちらでもありません。だからもうかかわらないで下さいと宣言した。
いや実際、どっちもどっちだし、相手にしたくない。
それに二人の反応をうかがっているとよく似ている。だから相手が互いにいじめられていると言い張っているけど、お互いがお互いを攻撃しているだけだよねあれ。似た者同士さ。
「……これにて解散です」
「「納得できませんませんわ!」」
とっても怖い令嬢二人に囲まれ、僕はもうかかわりたくないので、衛兵に命令して二人にお引き取り願いました。
今度は優しそうな見かけだからとかで選ばず、内面を見てきちんと婚約者を選びたいと思います。
どうなるかと思ったけど、公爵家からは実は謝罪がきました。
やはりあの二人の姉妹に困っていたらしいです。不敬罪とかにはしないから安心してと返すとほっとされてましたけど。
でも女の人って怖い、側妃とやりあう母上みたいなのとは婚約ないよ。
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