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すごくゆっくり更新になります。
気長に楽しんで頂けたら嬉しいです。
雅さんへ
僕はずっと君を見ていたいです。
だからストーカーになることを許してください。
誓って何もしないです。
なのでどうか怖がらないでください。
1-A沢木晴
090-xxxx-xxxx
高校に入学してまだ何日も経っていない4月のある日、
私の下駄箱にこんな手紙が入っていた。
これはどうしたらいいのだろう?
私のクラスは1-Eだから接点がない。
なぜ告白じゃなくてストーカー?
意味がわからない。
私は新しくできた友だちの中でも顔の広い空緖ちゃんにお昼を食べながら
さりげなくこの手紙の送り主のことを聞いてみることにした。
「ねえ空緖ちゃん、A組の沢木君って知ってる?」
「お?雅ちゃん、入学早々もう気になる人ができたのかい?
それも沢木君とはお目が高い!
童顔でかわいい上に小動物みたいな仕草、背が小さくて守ってあげたくなるタイプ。お姉様方からも早速声かけられてるってはなしだよー。
競争率高いから狙うならがんばれー!」
とさらりと情報が手に入った。
「いやいや、そういうのじゃないからね?
会ったこともないし、たまたま拾い物をしたから届けようと思ったんだけど、怖い人ならやだなぁと思って聞いてみただけ。」
咄嗟にそんな言葉が出たけれど、一応どんな人かは把握しておかないと不安なことは確かだ。
お昼を早めに食べ終えると、
空緖ちゃんも一緒に行ってくれるということで
とりあえず渡す物として何も持ってないと怪しまれるので、
私のハンカチに、
『放課後屋上入り口の踊場に来て、手紙の内容を詳しく聞かせてください。』
という呼び出しの紙を包んで
A組に赴いた。
教室のドアのところにいた男子に
「沢木君いますか?落とし物を届けに来たんですけど」
と、空緖ちゃんが話しかけてくれて、少し待つと
かわいい男の子が慌ててこちらに駆けてきた。
その容姿を見て、
え?この子がストーカー君になろうとしてるの???
と疑問に思いながらも、
「沢木君ですか?
朝これを落としたみたいなので届けにきました。」
とハンカチを差し出すと
目を見開いて戸惑いながらも小声で耳を真っ赤にしながら
「あ、ありがとうございます」
とお礼を言って受け取ったハンカチを胸の前に抱き締める。
う、なんかすごく乙女チックで不覚にもキュンとしてしまった。
「いえ、では失礼します。」
と言ってすぐに踵を返してに空緖ちゃんと教室に戻る。
「雅ちゃんはクールだねぇー
私なんかさっきの沢木君の仕草にキュンときちゃったよー」
と言いながらアハハと笑った。
私はあまり感情が表に出ないだけで人並みの感情は持ち合わせている。
けど、今は出なくて良かったかもと思いながらも教室に足を進めるのだった。
高校生にもなると授業が増えて、週のほとんどが6時限まである。
それでも今日はあっという間に放課後になった。