無敵の騎士(後)
少しづつ書き足していきます。後書きがついたらひと段落です。時間なくてすみません(T_T)
「なんて事を……ザップー、あたし達は何があってもザップの味方よ。頑張って!」
「そうですよご主人様、早くそんな奴やっつけて下さーい」
マイとアンの声が僕に勇気を与えてくれる。
「「「ロマン! ロマン! ロマン! ロマン!」」」
爺さんはまだ黄金色の物をばら撒いてやがる。クソッ。僕も観客になりたい!
けど、僕を応援してくれる女の子がいる限り、僕は無敵だ!
僕はマイとアンを見てゆっくり頷く。
「真剣勝負の最中に、何よそ見してるんだ。食らえ必殺ロマン突きーっ!」
ヘロヘロなへなちょこ突きをヒラリとかわす。なんて重い突きなんだ。気を抜くと食らったふりして吹っ飛びたくなる。けど、大金貨4枚ごときでプライドを売ってたまるか!
ぺちーん! ぺちーん!
その音に辺りが静まり返る。執事の爺さんが更に大金貨を積む。な、なんと2枚上乗せ!!
「ご主人様、後で美味しいもの食べさせてくれますよね」
アンの声が聞こえてくる。
「ロマン、ロマンさん頑張って下さい。ご主人様なんて軽くぶっ飛ばして下さい!」
あ、アンがロマンの後ろに走って行った。裏切り者め、誰が奢るか!
けど、大金貨6枚。かなりの大物を倒さないと手に入らない金額だ。僕の目にはロマン君がかなり大きくなったように見える。
ぺちーん!
更に上乗せ!
「ザップー。そういえば、お金貸してたわよね。返してね。ロマンさん、頑張って! ザップの弱点は脇の下よ!」
あ、マイさえもロマンの後ろに……
そうなのだ。僕はくすぐりに滅法弱いのだ。弱点だけど、なんか違うよな。
「「「ロマン! ロマン! ロマン! ロマン!」」」
ロマン君を辺りの全ての者が応援している。もはや僕には1人の味方も居ない。
ぺちーん!
大金貨8枚。
ロマンの突きをかわす。まだ、お金あるのか? どうでもいいが、ロマンは突きしか出来ないのか?
ぺちーん!
9枚。よくよく考える。これって絶対負けた方がいいのでは? 勝っても何も得るものはない。名誉? そもそも僕は騎士ではない。荷物持ちだ。名誉なんてどうでもいい。強いて言えばコツコツ貯めたと思われる勇者力、魔王力が下がるかもしれない。けど、微々たるものだろう。
逆に負けたら大金貨9枚。美味いものしこたま食べられる。
ぺちーん!
爺さんが更に大金貨を積む。
「「「ロマン! ロマン! ロマン! ロマン!」」」
みんなロマンを応援している。積まれた大金貨がギラギラ光っている。
あ、ポッキリ心折れたわ。そろそろ負けよ。けど、あっさり捲けるとなんか僕たちをせっかく見に来た人たちに悪い気がする。負けるのはいいが、人気が下がるのはやだな。
『ご主人様、後で美味しいもの食べさせてくれますよね』
アンの言葉が頭に浮かぶ。そうだ!
「流石、最強の荷物持ち。しぶといな。だがこれで終わりだ!」
ロマン君がヘロヘロな突きを繰り出す。なんて強い突きなんだろうか。そうだロマンは間違い無く今まで戦った中で最強の騎士だ。
「うがっ!」
僕は突きが当たって無いのに吹っ飛ぶ。うん、見えない突きって便利な技だな。そして僕はゴロゴロと後ろに転がりまくり、大の字で動かなくなる。
「「「ロマン! ロマン! ロマン!」」」
ロマンを讃える声がこだまする。これが敗北か……
なんかちっこい生き物が飛び出してくる。その手には拡声の魔道具。導師ジブルだ。いつの間に。
「なんと、最強の荷物持ち、ザップ・グッドフェロー、騎士ロマンに敗れ去りましたーっ!」
「「「ロマン! ロマン!」」」
ジブルの声を受け、さらにギャラリーが活気づく。ロマンは声援に手を振って応えている。
「ザップ、大丈夫?」
「ご主人様、大丈夫ですか?」
マイとアンが駆け寄って来るが、その顔は微妙にニヤけている。大丈夫に決まってるだろ。
「それでは、これが治療費です」
執事の爺さんが僕に大金貨をくれる。僕はフラフラと立ち上がり、ジブルの持つ拡声の魔道具を受け取る。
「皆様、ご観戦ありがとうございます。悔しいですが、私、ザップは騎士ロマンさんに敗れ去りました。この装着時素振り大会で初めての事です。本日は、私の初敗退を記念して、この横の『みみずくの横ばい亭』で記念パーティーを行いたいと思います。当然、食事代は全て私がもちますので、ふるって参加してくださーい!」
「「「ウオオオオオオオオーッ!」」」
辺りは割れんばかりの大歓声に包まれる。
そして、僕たちは敗退を祝して、隣のレストランで大いに楽しんだ。
これで、人気は大丈夫だろう。けど、意外に激しい出費だった……
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