無敵の騎士(中2)
1年以上ぶりに完全新作投稿しました。タイトルは、
『聖女は【追放ざまあ】に憧れる』
です。なんと、異世界恋愛ものです。下にリンク張ってますので、興味がありましたら見て下さーい。
https://ncode.syosetu.com/n4971hv/1/
「かかってこい!」
痩せっぽちの騎士ロマン君がへっぴり腰でレイピアを構える。その姿は隙だらけで、多分ゴブリン1匹にも苦戦しそうなオーラを放っている。間違いない。ザコ、クソザコだ。
それに対し、ピオンは小太刀を逆手に構える。その構えは隙が無く、多分、攻撃しようなら一撃でロマン君の首を刎ねるだろう。けど、ピオンの視線は爺さんが出した机の上の黄金色の物体。戦う前にしてピオンは既に半分以上はやられている。欲という奴に。
ぺっちーん!
爺さんがまたどこからともなく大金貨を出して大金貨の上に叩きつける。ピオンの喉が動くのを僕は見逃さなかった。微かに小太刀の切っ先が震えている。今、ピオンの中では、欲とプライドが戦っている事だろう。けど、この早朝素振りで、今だかつて、チャレンジャーに敗れた者は居ない。そのピオンを仲間たちは羨望の眼差しでみている。彼女たちの心の声が聞こえる気がする。『ピオンいいなー』っと。
「ピオン! 負けるな!」
僕は駄目もとでエールを送る。
「ザ、ザップ……勝ったらご祝儀貰えるのか?」
ピオン、何言ってやがる。こんな事で僕にそんな大金払えるか!
「甘えるな! お前の力はそんなもんか?」
ピオンの小太刀から力が抜ける。あ、折れちゃったかな? そうだ、ピオンは仲間の中でもかなりのリアリスト。もともと暗殺者。お金をもらえばなんでもしてきたって言ってたしな。多分もう金の力に屈しやがったな。
「お前から来ないなら、我からいってやる。安心しろ峰打ちだ!」
ロマン君がピオンに向かってヘロヘロな突きを放つ。突きに峰打ちもクソもないっつーの。
「な、なにっ!」
切っ先は微塵も触れてないのにピオンが後ろに吹っ飛ぶ。わざとらし過ぎるだろ。後ろにゴロゴロ転がって止まる。スカートメッチヤ捲れてたぞ。中は丸見えだったけど、見えたのはチェインシャツ。残念。
「クッ! 無念……」
ピオンは上体を起こしロマン君の方に手を伸ばす。だが、力尽きてその場にガクンと倒れる。
「奥義『見えない攻撃』。我の攻撃は変幻自在なのだ!」
ロマン君はレイピアを掲げる。見えない攻撃とか言ってるって事は数々の勇士が同じようなやられて方してきたんだろうな。
「ロマン!」
「ロマーン!」
ギャラリーからぽつぽつと声援が飛ぶ。
「坊ちゃま、治療費を渡してきます」
爺さんがピオンに駆け寄りその手に大金貨3枚を握らせる。ピオンはフラつきながらもそれを受け取り足を引きずりながら退場していく。いつまで演技続けるんだよ。その口角が上がっているのを僕は見逃さなかった。
「次はお前の番だ。ザップ・グッドフェロー。無敵の騎士の力見せてやる!」
ロマン君はそう言うと僕の方に近づいてくる。
まさか、こんな形でも、仲間が敗れて、僕が直接戦う日が来るとは……
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