マルゲリータ
「まずは、生地を伸ばすわ」
マイは生地が並んだ容器から丁寧にピザの生地をヘラのようなもので取ると、それを白い粉の容器に移す。ピザの生地は真っ白でまん丸くぷっくりと膨れていて、大きさ的にマイのおっぱいみたいだと思った。口には出さないし、その膨らみのわきをチラッと見た事しかないけど。
「その粉は何なんだ?」
「打ち粉よ、小麦粉で、手に生地がつかないようにするのよ」
マイはそのおっぱいみたいなフワフワそうな生地を打ち粉につけると、軽くパンパンと払うと、大理石で出来た台の上に置く。奇妙な動きで、その真ん中を潰すと、ふちがある小さなピザみたいなものが出来た。その中の窪みにマイは右手を入れ、左手で生地を持ち上げる、右手で叩きつけるを繰り返す。
パン、パン、パン、パン!
リズミカルな音が響き渡ると、そこにはソースや具材が乗ってないピザの生地が出来た。正直徹頭徹尾、早すぎて何しているのかが解らない。
今、僕らが何をしているかと言うと、マイがビザを作るのを見ているところだ。先日マイが買って来たピザ窯でピザを焼いてくれた。とっても美味しくて、その作る所を見たいと言ったら、次作る時見せてくれる事になった。今日のご飯はピザと言う事で、今こうしてる次第だ。
「次はトマトソースを塗って、モッツァレラチーズを千切って乗っけて、次はバジルを」
パンッ!
マイは手のひらでバジルを叩く。
「びっくりしたな」
「ごめん、ごめん、こういう風にバジルを叩くと香りが出るのよ、それを千切って乗せて、オリーブオイルを回しかける。ちょっと場所あけてね」
僕が少し下がると、マイは木の棒の先にピザが乗るくらいの大きさの板がついたものを台にのせて大理石のテーブルの前に置く。さっきピザ生地につけた打ち粉を大理石の台と、その木の板の上に振りかける。そして、縦、横にピザを引っ張るとその木の板の上にピザを引っ張ってきて乗せる。そして生地を両手で整えると、さっきより一回り大きくピザ生地はなっていた。
「これは、投入用のパーラーで、今から窯にピザを投入するわ。パーラーを窯に入れて、そうね、ザップ、一発芸のテーブルクロス引きって見た事ある?」
「ああ、前に隣で見た事ある。テーブルの上にクロスをひいて、その上に料理とか乗っけて、勢いよくクロス引っ張るヤツだろ」
クロスを勢いつけて思いっきり引っ張ると上のものがそのままってヤツだ。因みに僕もチャレンジしてみてひどい事になった。
「それの要領で、パーラーを少し押して引っ張ると……」
マイが燃え盛る釜の中に木のパーラーってヤツを入れてそれを引く。綺麗にピザが釜の中に入っている。
「そして、見てて、中の生地の耳の所がフツフツと黒くなったら、これで回すのよ」
今度は鉄の棒の先に丸い皿みたいなのがついた、前に僕が武器と間違えたものを窯に入れる。そしてそれをピザの下に差し込み回す。そして、それを2度繰り返すと、マイは器用に窯の中でピザを回し始めた。
「こうやって、やきむらなくやいたら、はい完成」
マイはそれにピザを乗せて窯から出し皿の上に乗せる。
「早いな。もう出来たのか?」
「うん、窯の温度がしっかり上がってたら1分半で焼けるのよ。じゃ食べるわよ」
マイはピザカッターで、ピザを8等分する。
「え、晩メシじゃないのか?」
「晩御飯のは後でまた焼くわ。ピザって焼きたてが1番なのよ」
僕はピザを口にする。
「うわっ、アチチッ」
熱いけど、サクサクモチモチでとっても美味しい。けど、ピザ作るのって大変なんだな。いつも何気に食べているけど、コレって僕には絶対作れなさそうだ。
「マイ、ありがとう」
「どういたしまして」
多分、マイは僕たちのために何処かで習ってきたのだろう。その努力には本当頭が下がる。なにかお返ししないとな。
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