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 ポールウェポン


「ご主人様、これって何ですかね?」


 ドラゴン娘アンが手に長い棒みたいな物をもって来る。


「なんだ、それ? どうしたんだ?」


「あのですね、今、家に届いたんですよ。鍛治屋さんからで、マイ姉様の特注品だそうです」


 僕は読みかけの本をテーブルに置いて立ち上がる。


 今はリビングでまったり読書していた所だ。ここしばらく働きづめだったので、今日は何もしない予定だ。家に居るのは僕とアンだけだ。

 ちなみにマイは買い物で黒竜王の化身オブはその荷物持ち、導師ジブルと廃エルフのノノは魔道都市でお仕事中だ。


「ちょっと貸してみろ」


 僕はアンからブツを受け取る。鉄の棒の先に手の平くらいの大きさの円盤がついている。


「これは、ポールウェポンの一種だな。けど、どうやって使うんだ?」


 ポールウェポン、長い棒の先にいろいろついた武器。長い槍のパイクや、棒の先にハンマーがついたポールハンマー。先端に槍、斧、刺がついたハルバードなんかは有名だ。どれも癖があって扱うのにコツがいるが、その用途がハマった時にはかなりの威力を発揮するという。けど、狭いダンジョンでは邪魔になる事が多いから、馬で戦う騎士や、フィールドアドベンチャーをメインにしている冒険者とかしか使ってるのを見た事がない。


「これ、なんか格好いいですね。けど、こういう武器使っている人見た事ないですね」


「そうだな……」


 僕はなんか引っかかる。なんかいつかどこかで見た事あるような? けど、自称かなりの武器マニアな僕が知らない武器。なんか使いたくてムズムズする。


「ちょっと。外で振り回してみるか」


「ええ、マイ姉様のでしょ? 怒られますよ」


「大丈夫だって。傷つけたりしないからさ」


「しょうがないですね」


 僕たちは外に向かう。




 ヒュン、ヒュヒュン。


 僕はその謎武器を軽く振り回す。棒の中は空洞で軽い。片手でも振り回せる。柄を引き寄せて、先の円盤のフチを軽く触って見る。研いでは無いな。高速で振れば切る事は出来そうだけど、この大きさだと、ゴブリンの首を刎ねるのすら難しいな。それに薄いから強度も無さそうだ。攻撃を受ける事を考えてみる。ダガーやブロードソードくらいならなんとかなりそうだが、それより肉厚な武器はなんとか逸らす事は出来ても受けたら折れそうだ。


 うーん、用途が解らない。


 何気なく突き出してみる。駄目だ。これで突いたら円盤が折れる。ん、もしかしてこの円盤ってスコップみたいに何かを掬うものなんじゃ? あんまり重いものは無理だな。スライム。そうだスライムだ。円盤でスライムを空中に掬い上げてそれを円盤で切る。刃物として役立たない円盤でもスライムくらいなら切れる。これなら汚れずにスライムを刈りまくれる。


 僕はイメージの中のスライムを掬って切る掬って切るを繰り返す。


「ザップ、何してるの?」


 帰って来たマイが僕の素振りを見ている。


「これって、スライムスレイヤーなんだろ。掬って、切る。掬って、切る」


「え、何言ってるのザップ?」


 マイが冷たい目で僕を見ている。


「むあ、掬うまでは間違ってなかったんだけどね。これってパーラーって言って、窯でピザを焼くときに使うものよ」


「えっ?」


 という事は武器でなくて調理器具?


 イキって調理道具を素振りしてた僕っていったい……

 


 そして、その夜のご飯はピザだった。新しく庭に買ってきた窯で、さっきのパーラーというものを使ってマイが美味しくピザ焼いてくれた。窯に入れたピザをさっきのヤツで下から持ち上げて回していた。


 ちなみに後日、スライムで試してみたけど、切る事は出来たけど、掬う事は上手くいかなかった……




 読んでいただきありがとうございます。


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