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 七色唐辛子


「なんだ、これは、七色唐辛子?」


 僕はテーブルの上の小瓶を摘まむ。それには『七色唐辛子』と書いてある。七色って事は虹のようにカラフルなのか?

 興味本位に手のひらに出すが、赤い粉に黒い粒とかが混じっていて決して七色ではない。なめてみる。


「辛っ」


 一味唐辛子や、カイエンペッパーとか呼ばれてるものとほぼ同じ味だ。けど、なんて言うか癖がある。僕は辛いものマニアなので、家にその手のものは常備してある。ちなみに一味とカイエンペッパーは同じものみたいであるけど、一味は粒々、カイエンペッパーはパウダー状になってるものが多い。僕は一味は焼き鳥や温かいうどんそば、カイエンペッパーはカレーや担々麺を辛くしたりトマトジュースにかけたりに使っている。もっとも、どちらともマイと知り合ってから知ったものだけど。


「七色って書いてあるのに、赤色じゃないか」


「そうね、七色って七つの種類って意味よ。それね、東方の調味料で『七味唐辛子』とか『薬研堀やげんぼり』とか呼ばれてるものよ。若干作る所で中身が違うそうだけど、これには唐辛子と、ゴマと芥子けしの実とミカンの皮と山椒と青のりと麻の実が入っているそうよ」


 知らない言葉もあるが、要は調味料をブレンドしたものという事か。


「そっか、七つの薬味がはいってるのか。けど、よく中身全部覚えてるな」


「簡単よ、『ああ、酒みごと』」


「なんだそれ?」


「材料の頭文字をとったのよ、『ああ』が麻の実と青のり、『さけ』が山椒と芥子の実、『みごと』がミカンの皮とゴマと唐辛子。隣のピオンちゃんに教えて貰ったのよ」


 ピオンと言うのは隣の忍者娘だ。なんと、七色唐辛子の原料を覚えるための語呂合わせか。けど、お酒に無敵のマイは忘れないかもしれないが、酒に弱い僕はすぐに忘れそうだ。けど、覚えていて何の役にたつのだろうか?


 まあ、七色唐辛子、作るの手間がかかってるからここらにはあんまり出回ってないのだろう。だから今まで僕は知らなかった。辛いもの好きの僕のためにマイが見つけて来たのだろう。ありがたい。


「これって、東方でお薬を作っている地域で開発されて、元々は食事と一緒に体にいいものを取ろうとして作られたものらしいわ」


「え、辛いのに、体にいいのか?」


「お腹の調子を整えたり、食欲不振、吐き気、消化不良などを鎮めてくれる働き、胃もたれや下痢に良いとされてるらしいわ」


「ほう、そうなのか」


 最近冷たいものの飲み過ぎでお腹の調子が良くない事が多いから、その効能は魅力的だ。


 そして、今日のご飯は温かい天ぷらそば。それに七色唐辛子はよく合った。一味もいいけど、なんというかコクが出てるように感じる。

 それから色んなもので試してみて、結果は汁物系の味変にはとてもいい。担々麺やカレーなど辛みが強いものは風味が呑み込まれて一味とあんまり変わらない。個人的には好き嫌い別れると思うけど、トマトジュースに一振りでスパイシーでいい感じだ。




 読んでいただきありがとうございます。


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