ボマー (2)
「ううん……」
すぐに目を覚ましたウェイトレスさんに話を聞いてみる事にする。
「こんな時にすまないが、少し俺の話を聞いてくれ」
「は、はい……」
「見ての通り、俺のチキングリルが爆発した。あなたの店の人を疑ってる訳ではないが、何か気付いた事があったら教えてくれないか?」
ウェイトレスさんは、上を見ると口を開く。何かを思い出そうとしてるのだろう。
「私が、あなたの席に料理を運んだんですけど、料理長が盛りつける前は何も無かった訳ですし、そう言えば、私が料理を運んでる時に、小っこいフードを目深に被ったマントの人にぶつかりそうになったですね」
やはり、と言う事はさっきのマントの奴が怪しいな。奴が出て行った後に入り口も爆発したわけだし。
もうじき街の衛兵が来ると思う。その前に何とかしないと、つかまると事情聴取とかで動けなくなるだろう。相手は街の真ん中で爆発を起こすようなクレイジーな奴だ。野放しにする訳にはいかない。
「迷惑料だ」
僕はテーブルに大金貨1枚を置くと、崩れた入り口に向かう。
道に出ると人垣が出来ている。野次馬だと思うが、自分の身が危険だと思わないのだろうか?
「!!!」
その中にマントの人物を見つける。僕がそちらを見ると背を向けて歩き始める。ついて来いって事か? 僕は小走りで追いかける。ただの怪しい奴かもと思ってたけど、間違いなく奴は僕を意識している。警戒しながら後を追う。とりあえず、あいつから話を聞いてみるとするか。道をしばらく歩き、人が減った所で駆け出す。
ドゴン!
あと少しで奴にたどり着くという所で僕は左手に吹っ飛ばされる。なんだ? あ、足が無い! 痛みが後からやってくる。痺れるような焼け付くような痛み。やりやがったな。僕は道沿いの建物に叩きつけられる。収納からエリクサーを出して癒す。身を起こすと、マントの奴がこっちを見ている。その手からなんか豆みたいなものが放物線を描いて飛んでくる。魔法の収納にしまおうとするが、入らない。近づくつぶてを見ると動いている。虫? 僕は咄嗟にかわすが、間に合わず左肩に当たる。その瞬間、僕は今度は右に吹っ飛ばされる。なんとか着地するが、奴はかなり遠くでこっちを見ている。瞬時にエリクサーで癒し、奴を攻撃する事を考えるが、ここは街中、いい方法が思い浮かばない。
間違い無い。奴は僕を狙っている。しかも僕の収納の事を知っていて、その特徴も調べている。多分暗殺者だと思うが、僕には敵として思い当たるものが多すぎる。例えば、東方諸国連合の盗賊都市の暗殺ギルド。王国の前の第1王子の関係者、隣の帝国の過激派、天使を奉じている聖教都市の者。
まあ、今はそれは関係無い。あいつをどうにかしないとな。
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