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 フレイル


「なかなか厄介だったな」


 僕はついつい声に出す。僕が今相手していたリザードマンは棒の先にでっかい重りが鎖で繋がれた武器を使っていた。初めて戦うタイプの武器だった。僕はミノタウロスの腰巻きのマントをはだけて左肩を出す。青黒く腫れているのみならず、重りについていたトゲが刺さって出血している。収納からエリクサーを出してかける。一瞬にして打撲も傷も治癒するが、ジンジンとした痛みはまだ残っている。左肩を回してみる。うん、問題ない。けど、リザードマンの攻撃にしては強烈だった。元からの力に遠心力的なものが乗ってたからだろう。


「それって確かフレイルって武器よ」


 マイが頭を吹っ飛ばされたリザードマンの武器を手にする。マイも成長したものだ。前まではキャアキャア言って死骸には近づけなかったのに、今はなにも気にせず死骸から武具を剥ぎ取れるようになった。

 なんか昔を思い出す。家に出たゴキブリに妹は泣きながら抱きついて僕に討伐させていたのが、いつの間にか成長して、サンダルとかで叩けるようになったのを見た時みたいだ。まあ、なんか少しだけもの悲しさを感じる。


 ここは『原始の迷宮』の地下42層。パーティーから追放された僕は、そこそこに戦えるようになった時に助けたマイという獣人を鍛えるのと、もっと下層のヘルハウンドを狩って食料にするために進んでいる所だ。僕が戦って、マイにとどめを刺させる事で、マイはメキメキ強くなり、そろそろ実戦をさせようかなと思っていた時に遭遇したリザードマンにいいものをもらってしまった。油断した訳じゃない。向かってくる3体のリザードマンを1体2体とハンマーで無力化した所でもう1体が襲いかかってきて、そのリザードマンが振り上げた得物をハンマーで防いだら、その先が伸びてきたかのように見えて、左肩に強打を受けてしまった。イラッとして、反射的にソイツの頭をハンマーでぶっ飛ばしてしまった。マイにとどめを刺させる予定だったんだが……


 僕はマイからフレイルを受け取って軽く素振りをしてみる。ハンマーに似てるので悪かないな。


「なんか、田舎でこういうのみたな」


「確かフレイルって元々は農具から発展したものって聞いた事があるわ。先の動く所は確か穀物って言うらしいわ」


「そうか」


 そうだ。たしか穀物を脱穀するのに使われてたな。穀物を脱穀するものなのに、名前が穀物? なんか駄洒落みたいで訳が解らないな。

 とりあえず使ってみるか。


「駄目だな……」


「そうね、やっぱり加減がむつかしいのね……」


 なんか、マイが苦しいフォローをしてくれている。これを扱うには僕は不器用すぎる。


 僕たちの目の前には絶命したリザードマンが転がっている。マイが言うとおり、手加減が難しい。それに、上手く隠したとは思うけど柄の深い所を握って攻撃した時に戻って来た穀物で自爆しそうになった。それよりも、僕の手には只の棒が握られている。最後に思いっきり振ってみた時にリザードマンの頭と一緒に千切れた穀物も飛んで行った……



 読んでいただきありがとうございます。


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