野菜クズのスープ
ちょっと最近ラノベで気になった事にもの申します。
「ねぇ、ザップ。これっておかしいと思わない?」
マイが僕に尋ねてくる。
僕たちは今日は暑すぎるので、部屋でのんびりと読書に興じている。リビングの中央にはでっかい氷がある。導師ジブルが魔法で作ったヤツだ。その下には受け皿があり、収納のスキルのポータルによって溶け出した水は排出されるようになっている。そこには薄着のドラゴンの化身のアンと、黒竜の化身のオブがぴっとりとまるで氷の一部かのように貼り付いている。導師ジブルと廃エルフのノノは今日は魔道都市に仕事で行っている。アンとオブは死骸同然なので、なんかマイと2人っきりの気分だ。けど、本当に2人っきりになりたいものだ。
「読んでみて」
マイから本を借りてパラパラ読むと、それは高度な文明の世界から僕たちの世界に転生した人物の話だ。そもそも転生ってなんだよって思うけど、僕たちの世界にある技術や料理などの多くは、その異世界から転生したという者にもたらされたものが多々あるらしい。
僕が好きなから揚げやカレーなどの料理は転生してきた者がもたらしたと言う。真偽は定かでは無いが。
そして、マイが指摘した所を読む。
『その宿は食事付きで、宿自体はボロくはあったが、寝台には藁の上に綺麗なシーツが敷いてあり、寝心地は今までの野宿と比べると格段に良かった』
僕は声に出して読む。宿屋で藁布団はなんかぼったくり感があるが、まあそういう所もあるだろう。
「どこがおかしいんだ?」
「もう、ザップもっと先よ」
『そして、運ばれて来た食事は、黒パンと具材がほぼ無い野菜クズのスープだった。まあ食べられるだけマシと言う感じだった』
「そこよ、そこ!」
「え、何がおかしいんだ?」
「なんか、野菜クズのスープをおいしくないみたいに言ってるじゃない。それがおかしいのよ。間違いなく、この本を書いた人って野菜クズのスープを飲んだ事がないのよ。まあ、これ飲んでみて」
マイは2つの湯気がたったカップを収納から出す。マイの収納領域には沢山のスープのストックがある。そのうちのものだろう。僕は右から飲む。うん、普通においしいスープだ。そして、左を飲む。そちらはおいしいだけじゃなく、さらに何とも例えられないコクがある。胸の奥があったかくなる。ちょっと部屋が冷えすぎてるのでちょうどいい。
「こっちが野菜クズを使ったスープ。もう一つはほぼ同じ野菜の手入れしたものを煮こんだものよ」
果たして左が野菜クズを使ったスープだった。まじでうまかった。
「セロリの葉っぱや人参の皮とヘタ、トマトのヘタやパセリの茎やタマネギやニンニクの皮やピーマンの種。普通食べない野菜のクズを弱火や中火でコトコト煮込んだらとってもおいしくなるわ。野菜って皮やヘタの所に栄養や旨味がつまってるから、それを使うと、栄養たっぷりのおいしいスープになるわ」
料理の事になるとマイは饒舌だ。けど、料理好きなのは良いことだ。僕はその恩恵に与れている。
「そうだな。多分その本の作者は飲んだ事無いんだな。おいしく無いスープって言ったら、薄いヤツや塩分が少ないのだよな」
「そうよ。それに、野菜クズのスープって名前もダメよね。このスープ、ベジブロスって言うのよ」
初めて聞く言葉だな勉強になった。
「そうなのか。マイ、もう少し貰ってもいいか」
「うん」
僕たちはスープを口にする。外は暑い中、氷で冷えた部屋で熱いスープを飲む。なんて贅沢なんだろうか。
それにしても、ドラゴン2匹は食いしん坊で食べ物には敏感なのにノーリアクションだった。どれだけ野菜が嫌いなんだよ。
なんと、今、リゼロが熱いです。数日前に第七章で子供になったスバル君が大活躍してます。感度で胸が熱くなって涙が出かけました。(嘘です。涙腺が弱い私は間違いなく涙してました)
いやー、本当に面白いので、ここを見た方は問答無用で読んで欲しいです。
読んでいただきありがとうございます。
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