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 姫と筋肉 死霊大戦争(8)


 レリーフから放たれた真っ黒な球体がバチバチと雷状なものを撒き散らしながら進む。その球体の中には引き延ばされた苦悶に満ちあふれたような顔が幾つも確かに見える。子供が見たら即座に泣き出すようなメッチャ気持ち悪いヤツだ。

 進む球体が近くにいたアンデッド共を引き寄せる。アンデッド共は球体の中に消え失せ、少しづつ球体が大きくなってるようだ。球体は普通の人が全力で走るくらいのスピードで、決して早くは無いけど、どうもアンデッド共はそれに強い力で引き込まれているみたいだ。なんなんだアレは?


「レリーフ! 何しやがった?」


 レリーフは腕を組み満足そうに頷いている。


「アレは、わが鍛えられた全身から溢れ出る魔力を凝縮して打ち出したものだ。死霊魔術で味付けしてあるから、少しは死霊的なものも混じってるみたいだけどな。多分、聖なる属性の者には大ダメージを与えられるはずだ」


「え、お前、何アンデッドに向けて闇属性の攻撃放ってやがるんだ? もしかして効いて無いんじゃないか?」


「大丈夫だ。見ての通り、アンデッドを取り込んで強力になってるみたいだからな」


「で、アレはこのあとどうなるんだ?」


 球体はアンデッドをことごとく呑み込みながら進みどんどん雪だるまみたいにデカくなっている。


「さあ? いつかは弾けるんじゃないか?」


「なんだそりゃ? お前にも解らないのか?」


「普通の敵相手の時は弾けてダメージを与えていたんだが、まさかアンデッドを取り込むとはな。さすが私の必殺技だ」


「さすがじゃねーだろ」


「それより見ろラパン。ほとんど掃除は終わったみたいだぞ」


 アンデッドを全て呑み込んだ球体の前をひた走るローブの男が遠目に見える。


「いくぞ」


 走るレリーフをつい追っかける。


 アンデッドのバッカ、球体、レリーフ、僕の順に走る。ん、僕らは何やってんだ?


「なんなんだこの球は。来るな追っかけて来るな」


 バッカから余裕が無い声がする。なんか球から無数の手が出てバッカの方に伸びている。うわ、気持ち悪っ。けど、ついつい何が起こるか興味が湧いて球と並走し観察する。


「くっ、引き寄せられる。もはやこれまでか……ん、けど我はなんで逃げてるんだ。この波動は間違い無く闇。我にとってはごちそうのようなものじゃないか。このような球如き取り込んでくれるわ」


 バッカは振り返り球と対峙する。球から伸びた無数の手がバッカに掴みかかりその中にバッカが引きずり込まれる。


「アバババババババババッ! やっぱ無理ーーーっ!」


 バッカの断末魔? が辺りに響く。玉はさらに大きくなり、その場で止まり脈動し始める。


 ドクン。ドックン。


 心臓の鼓動のような音がする。


「おお、でっかくなったな」


 レリーフが呑気な声を上げる。


「でっかくなったなじゃねーよ。多分間違い無くこれってヤバいヤツだろ」


 ウォオオオオオオオーーーーン!


 なんか何かの慟哭のような音を上げ、球が弾けたように見える。いや、無数の手が球から伸びている。僕とレリーフは数度バックステップして球かろ距離を取る。


 球体から大小無数の手が溢れ、右足、左足が出てきて立ち上がり、更に大きく膨れ上がる。


 メキメキメキメキメキメキッ!


 軋むような木が折れるような音を立てて、それは急速に膨れ上がる。


 巨大な体に無数の手。溶けたような頭に複数の乱雑に並んだ顔。


百手巨人ヘカトンケイル


 僕たちの目の前に伝説の始原の災厄が顕現した……




 読んでいただきありがとうございます。


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