姫と筋肉 死霊大戦争(4)
「お前、私を殺す気か!」
なんかレリーフが言っている。知らん。別にレリーフなんてどうでもいい。くっさいゾンビが我慢ならなかっただけだ。
「お前のお陰で、私の部下たちが燃え尽きてしまったじゃないか!」
「知らねーよ。僕の魔法の範囲に入るのが悪い」
面倒くさいけど会話してやる。
「ほう、そうか……私は大きな勘違いをしてたようだ。やはり敵はお前だな。子供に対してのお仕置きはお尻ペンペンと昔から相場が決まっている。ラパン! 覚悟しやがれ!」
レリーフが僕に向かって駆けてくる。甘いな。僕の1番得意な魔法は幻術。レリーフの目を見て、とびっきりの幻覚魔法をかけてやる。そして、僕は大きく身を翻す。魔道都市アウフ最強といわれている幻術をくらいやがれ。
「なんだラパン。お前固いな。なんて固い尻してやがるんだ……」
レリーフは岩を叩いている。岩相手に喋りながら打擲しているレリーフはめっちゃ馬鹿っぽい。やっぱレリーフは単純だから幻術がよくかかる。
「むぅ。今日の所はここまでにしといてやる。お前だって一応女の子だからな」
岩相手に話かけているレリーフは馬鹿っぽいて言うか馬鹿だ。何て言うか少し可哀相になってきた。看板とかに絡んでいる酔っぱらいみたいだ。
「貴様たちか? わが眷族に仇なしたものは?」
気がつくと、レリーフの傍らにフード付きのローブを纏った人物が佇んでいる。フードを目深に被って顔を隠している。テレポート、空間移動の魔法か? 失われた古代魔術と思われる。こいつはかなり高位の術者だ。
「なんだお前は? 私は今取り込み中だ。じゃじゃ馬にお仕置きしてる所だ」
「なんだお主? 頭大丈夫か岩なんかと会話して?」
「お前! 言っていい事と悪い事があるぞ。たしかにラパンは平坦な体をしている。それを岩みたいとか言い過ぎだろ。少しは少しは膨らんでいる。謝れラパンに今すぐ謝れ!」
ん、今なんかレリーフ、めっちゃ僕に対して失礼極まりない事言ったよね。僕が岩のように平坦?
「おい、こらレリーフ! 僕のどこが岩みたいに平坦なんだよ!」
「え、岩がしゃべった!」
「岩じゃないわ。お前が話してるのが岩で、こっちがラパンじゃい!」
「くっ! 幻術か! 私を惑わすとは、流石だな」
「おいっ、それは岩だ。僕はこっちだ!」
地なのかボケなのかわからないが、かなりムカつく。
「おいおい、お前たち、仲違いしないで、私の話を聞け!」
「じゃっかましいわ。黙れスルメ野郎!」
僕はローブの人物、たぶんアンデッドを一喝して、レリーフに向かって構える。大好きな物理でぶっ飛ばしてやるよ。
「そうだなラパン。今日こそはどっちが上か解らせてやる」
僕の前に腕を組んで立ち塞がるレリーフ。
「お前ら、私の話を聞け!」
ローブの人物が叫ぶ。それを皮切りに僕はレリーフに襲いかかった。
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