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 腐食の息(前)


「かかってこい! 最弱ドラゴン!」


「僕は最弱じゃない! ただ力の大部分が封じ込められてるだけだ」


 暑いのに良くやるもんだ。アンの挑発にオブが襲いかかる。

 ここは臨海都市シートルの人が来ないビーチ。巨大生物とか水竜とかが出る危険地帯だ。けど、僕たちにとってはそこらの魚が泳いでいる海と何ら変わらない。マイとジブルとノノはショッピングに行っていて、僕はアンとオブ、ドラゴン達の子守だ。まあ、地獄のショッピングに付き合うより、ここでゴロゴロしてた方が幾分マシだ。僕はパラソルの下ビーチチェアで横になっている。

 ドラゴン娘アンと、黒竜王の尻尾の化身オブが恒例の姉弟喧嘩を始めた。何かあったらアンはオブをからかう。喧嘩するほど仲が良いってやつだろう。オブが殴りかかるのをヒョイヒョイとアンがかわす。まあ、オブはあれくらいの子供にしては十分強いのだが、アンは化け物。人の姿で竜の力と防御力を誇るチートな生き物だ。


「もう終わりか? オブ」


「ハァハァ。僕の得意なのは魔法。古竜の権能は絶対。黒竜王オブシワンの力見せてくれる。僕の権能は魔法必中! 古竜魔法オブシワン!」


 一瞬オブを黒いもやが包み込む。古竜魔法オブシワン。魔法が必ず命中するというチートスキルだ。


「くらえ! ファィヤーボルト!」


 オブの突き出した手から出たミミズみたいなファィヤーボルトがアン目がけてノロノロ進む。うん、見てて気持ちいい。僕よりショボいファィヤーボルトを放てる奴がいるとは。アンはそのファィヤーボルトを右手で握りつぶす。


「さすが、魔法必中は恐ろしいですね。それではこちらの番ですね。古竜魔法アイローンボー!」


 握ったアンの右手が一瞬白く光る。ん、初めて見た。アンの古竜魔法。確かめる権能は投擲必中? あんま使い途ないもんな。

 アンはしゃがんで砂を掴むとオブに投げつける。


 バチバチバチバチ。


 オブに砂粒が襲いかかる。海パンだけでアレはきつい。オブの体が赤くなってる。


 ここで、1つだけ言える事は、コイツらの古竜魔法役にたたねー。まあ、使う人に依りけりだと思うが、コイツらにはブタに真珠だな。


 まあ、人が居ないビーチだから好きにやらせていたが、うっさくて昼寝できねーよ。


「お前たち、いい加減にしないか」


 僕は立ち上がり、後ろからアンの頭をどついてやろうとする。


「くらえ! 必殺腐食の息!」


 オブが叫ぶ。僕の前のアンがヒョイと横に避ける。


 くっせー!


 オブが吐き出した茶色の息が僕を包み込む。おならだ。くっせーおならだ。苦ぇ。メッチャ臭いもの嗅いだら味するんだな。


「大丈夫ですか? ザップさん」


 オブがオロオロしている。


「君、息吐ききったよね。途中で止められたよね」


「スミマセン。この体になって人間相手にかますの初めてだったんで、どうなるか知りたくって。なんともないですか? どっか腐ってないですか?」


「大丈夫だよ。腐ってねーよ」


「そうですよ。ご主人様は元々腐ってますから特に心」


 とりあえず、ドラゴン達に拳骨くれてやって僕はビーチチェアで横になった。


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