番外編SS 荷物持ち少女たちの荷物持つ(後編)
「おい、キサマ、そんなに食われたいのか? いいだろう。服を脱いで全身を洗うといいだろう」
王冠を被ったデブゴブリンが口を開く。魅力的な提案だ。女の子たちとの混浴だ。ん、今も服を着てるけど混浴と言えるのではないか?
「おい、太った奴、これはお前が考えた事か?」
大声でデブゴブリンに問いかける。他のゴブリンたちも反応し、全員僕に弓を向ける。
「いや違うだろう。昔マスターに教えてもらった。エサを出して冒険者を釣って、弱った所を叩く。エサが弱いほど弱い奴がくるだろう。俺様賢い。暖かい水のそばですると、なぜか冒険者裸になって体あらう。殺しやすいし洗ったほうが美味しいだろう」
話し方は余り賢そうではないが、確かに賢い。ゴブリン退治が終わって、天然露天風呂を楽しんでる所を一網打尽にする。冒険者が武装してなくてしかも綺麗になってて殺しやすくて食べやすい。一挙両得だな。もし僕がいなかったら、この駆け出し冒険者の女の子たちもエッチな事されてあいつの胃袋に収まっていただろう。
「俺が引きつける。合図の後、着替えて武装してこい」
小声で少女たちに話しかける。
「駄目よ、あなたが犠牲になる気?」
アンジュが小声で答える。
「大丈夫! みんな無事に帰るんだ」
「行け!!」
僕は叫ぶ。
ヒュン! ヒュン!
風を切る音がする。
「ファイヤーボール!」
僕の体から、炎の玉がのべつ幕無し打ち出される。大盤振る舞いだ。40発以上は使った。遠くから見たら小さな太陽が現れたように見えたのではないだろうか?
矢を撃ち落としながら、ヘルハウンドブレスでデブ以外全てのゴブリンを焼いてやる。下半身を狙って殺さないようにする。とどめはレベリングのため少女たちに刺させる予定だ。
「終わりだ……」
僕は飛び出し、デブゴブリンをミノタウロスのハンマーを出して軽く小突いてやる。簡単に崩れ落ちて意識を失った。
「おっさん強かったんだな!」
アンジュが駆け寄って来る。後の三人も来る。服を着て武装してる。
「猿人間ザップ……王都で暴れ回った『最強の荷物持ち』……」
魔法使いのルルが呟く。なんだその二つ名は……
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ザップ、また荷物持ちに指名してもいいか?」
僕の背中でアンジュが呟く。
「ああ、また危険そうな時はな」
なんで負ぶってるかと言うと、ついつい職業病で、彼女たちを運んだらって言ってしまったので運ばされてる。さすがに四人一緒はビジュアル的に厳しかったので交代でおんぶする事で納得してもらった。なぜかみんな僕にべったりだ。正直、背中に感じる感触はどきどきだった。
もうすぐ町だ。門のそばに見たことのある人影が……
「ザップー! 何してるの!」
やっべー、忘れてたマイだ!
僕はアンジュを優しく置くと、一目散に逃げ出した。
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