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 スイカ


「なあ、そう言えば、スイカってどうやって食べるのが正解なんだ?」


 僕はふと疑問を口にする。


 丁度今、テーブルの上に三角に切り分けられたスイカをマイが持ってきた。ハイエルフのノノと、黒竜小僧のオブは多分初スイカだから、スイカに対して先輩な僕たちがレクチャーすべきだろう。


「ご主人様、そんなの決まってるじゃないですか」


 ドラゴン娘アンがまずスイカに手を伸ばす。なんか見なくてもオチは解ってるけど、もしかしたら変化球を投げてくるかもしれないので、温かく見守る事にする。


 シャリ、シャリ、シャリ!


 サク、サク、サク!


 ものの見事に種ごと皮ごといきやがった。


「アンちゃん、あたし達だけの時はいいけど、外で食べるときは、種と皮は食べないでね」


「はい!」


 アンはマイの言う事は素直に聞く。コイツにはスイカはもったいない。デカい瓜で十分だろう。


「レディの食べ方見せてやるわ」


 次は見た目幼女の導師ジブルだ。


 シャリシャリシャリシャリシャリッ!


 ジブルは一気に食べると残った皮を裏返して皿に置く。種は?


「やはり、種を吐きだすという行為は、言葉的にも行動的にもレディらしからぬので、そのまま食べるのが正解です。種は無害で食べてもそのまま出てきます。あと、食べ口を見せないように最後に裏返すのがエレガントです」


 なんか言ってる事はそれとなくレディらしからぬ下品さを含むし、レディは種ごとスイカ食わんだろ。


「ダメよジブル。まことしやかに変な食べ方教えたら。ノノちゃんとオブ君が信じちゃうでしょ」


 そう言うとマイはスイカを皿に乗せ、ナイフとフォークで切り分けて食べていく。フォークでスイカを押さえて水平に切り落とさないように切ったあと、上から一口サイズに切りながらその途中で種をナイフで落としていく。たまに口に入った種はナプキンで口を押さえて出していってる。うん、エレガントだこれなら問題無さそうだ。ちゃんとした会食でも変に注目されたりしないだろう。けど、面倒くさいな。


「そもそも、種が邪魔なら、無くしてしまえばいいじゃないか」


 僕は皿にスイカを一切れ乗っけると、種だけ収納に入れる。目の前には種が無いスイカが出来る。みんな僕を注目している。それを事もなげに僕は食べる。うん、種を気にせず食べられる。あの間違って種を噛んだ時の感触って嫌なんだよね。


「ああーっ。ザップ、ずるいー」


「マイ、持てるものは全て使うべきだろ」


「ご主人様だけですよ。そんなに収納を細かく使えるのは」


「そうよ、ザップ、ここのスイカの種全部とってよ」


「ええーっ、面倒くさいな……」


 それでも僕は種を全て取った。そして、これ以降、うちでスイカを食べる時には僕が種を取る係になった。みんな喜んでるからまあいいか。



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