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 海の塩ラーメン


「あいつら元気だな」


 僕は砂浜で飽きる事なく遊んでいるジャリ共を眺める。ドラゴン娘アン、ハイエルフのノノ、黒竜小僧オブと幼女導師ジブルで追っかけっこ的なのをやっている。ていうか、みんなでオブを捕まえては海に沈めているような? これって虐めじゃないのか?


「そうね。ああやって遊ぶのもいいけど、ゴロゴロしてるのも悪くないわね」


 そう言うと、マイはグラスに入ったジュースを口にする。僕も何気なしにそれに倣う。マイはオレンジ、僕はトマトジュースだ。本当ならブラッディーマリーを飲みたい所だけど、一撃死するからマイに止められた。ブラッディーマリーはウォッカのトマトジュース割りで僕はウォッカに弱いからたった一杯で人格が替わる恐れがある。しかもここは海、マイ、アン、ジブル、ノノは露出が高い水着を着ていてとても魅力的だ。僕は記憶が飛んだら何をしでかすか解らない。


 僕らは今、王国の南西部に作ったビーチで楽しんでいる。しばらく海に浸かったり、砂浜でボール遊びなどしたあと、僕らはビーチチェアに横になってる。マイはパラソルの下、僕はせっかく海に来たから焼けたいのでお日様を浴びている。


「マイ姉様、海を、海を食べてみたいです」


 いつのまにか、そばに来てたアンが、また訳が解らない事言っている。


「そうか、海が食べたいのか。止めないぞ好きなだけ飲んでこい」


「何言ってるんですか? ご主人様。私は海の水だけで味付けしたものを食べてみたいです。せっかくの海なので海を味わってみたいんです。塩焼きそばや、塩ラーメンってあるじゃないですか。けど、単純に海の塩味だけで味付けしたものって無いですよね。美味しかったら、お店で出したらメッチャお客さん来るんじゃないですか。王国には今まで海が無かった訳ですし」


 やたら、アンが熱弁する。コイツの食に関する情熱は凄まじい。滅多に使わない頭を使って商売っ気を出す事でマイの関心を引こうとしている。


「んー、なんかいいイメージが湧かないわ。ノノに頼んでみたら?」


 マイがふんわりと断る。多分、美味しく無さそうな物を作りたくないのだろう。


 そして、アンはノノを口説き落としたみたいで2人でせっせと火を焚いて調理し始めた。


「ご主人様、まずはご主人様から食べて下さい」


 僕の目の前に出された一杯のラーメン。具材の無い透明なスープに麺だけが入っている。明らかにこれって毒味だよね。しかもこの炎天下、何が悲しくて熱いラーメン食わにゃアカンのだ。けど、キラキラした目で見てくるアンには逆らえない。決して今日のアンの差し出した腕に挟まれた意外に大っきい胸の谷間に目がいったからではない。


 ズズズッ。


 僕は麺を啜る。


「うーん、やっぱ世間に無いものってだいたいダメなものなんだな。本当に塩の味しかしないぞ。残りはお前が食べろよ」


「じゃあ、いいや、それご主人様全部食べて下さいね」


 水着は偉大だ。僕はやむなくそれを完食した。なんか溺れた時みたいな味だ……

 



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