表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

927/2103

 ボディガード (5)


「ザザ、絶対に覗かないのよ。絶対だかんね」


「おいおい、それはフリなのか? 安心しろ俺はお前なんかに興味ない」


 ザザはアタシには目もくれず、家のリビングで雑誌を読んでいる。『王都の鍛冶師連合速報』とかいう退屈極まりなさそうなタイトルにイラッとする。目の前にアタシがいるのに何そんなの読んでんのよ。て言うかそんな雑誌、家には無かったはず?


 その前に……


「ほら、ザザ凄いっでしょ。コレ魔道シャワーの最新作よ」


 アタシはハンディータイプの魔道シャワーをザザに見せる。なんと、これってコードレスで、辺りの魔力と所持者の魔力を吸収して所持者が望む温度のシャワーを出してくれる。魔道都市アウフの今年の最新作で、軽く家が建つくらいの金額がする。高い買い物だけど、これがあれば毎日シャワーを浴びる事が出来るのよ。


「そうか」


「え、それだけ?」


 魔道シャワーよ、魔道シャワーの素晴らしさがわかんないの?


「どうかしたか?」


「ザザ、あんたってもしかして体を洗わないタイプの人間? それならとっとと家から出てって」


 ザザに抱っこして貰った時にはなんも臭いはしなかった。だから清潔にはしてると思う。簡単に体を拭くだけの人特有の煤けたような臭いはしない。あの臭いがアタシは大っ嫌いだ。昔の事を思い出す。けど、ザザに抱っこして貰った事を思い出してすこし顔が熱くなる。


「ん、出て行ってやりたい所だが、残念ながら俺は毎日風呂に入っている。シャワーじゃなくて浴槽に浸かる主義だ」


 え、やっぱりコイツめっちゃ金持ちじゃん。家に浴槽つきのお風呂があるの? どこのボンボンかよ。家にもちっちゃい浴槽はあるにはあるんだけど、溜めたら魔力切れでシャワーが使えなくなる。やっぱ髪の毛はシャワー無いと不便だし。


「そりゃアタシだって浴槽に浸かりたいわよ。けど、街のお風呂に行ったら凄い事なるし、毎日アタシ1人のためにお湯はるのもったいないじゃん。で、アンタんちの浴槽ってどれくらいの広さがあるの?」


「ん、そうだな、この部屋くらい? いやもっと広いか?」


「え、まじ?」


 この部屋くらいって、家のリビングは結構広いわ。20平米へーべーくらいはあるわ。そんな広い浴槽があるのってお城くらいじゃないかしら。と言う事はザザは貴族? コイツは短い付き合いでも解るのは嘘をつかない。だから、本当に家にでっかい浴槽があるって事よね。あー、そんなお風呂に1人で入ってみたい。


「もしかして、ザザって貴族様なの?」


 アタシは恐る恐る聞く。さすがにアタシのザザへの態度はもし貴族だったらヤバい。無礼打ちもんだ。


「んな訳あるか」


 相変わらず。くそ雑誌から目を離さない。貴族じゃなくて、でっかいお風呂。あっ、露天風呂!


「あ、わかったわ。アンタ北の山育ちで、山にある温泉ってヤツを自分のお風呂って言ってるのね」


「温泉……。なんとも言えんが、家の中に風呂はあるよ」


 ザザはやっとこっちを向く。それにしても、やっぱり、一流の冒険者ってべらぼうなお金持ちなのね。家にでっかいお風呂があるなんて。


「じゃ、今度落ち着いたらお風呂貸してよ」


「……ああな、今度な……」


 ザザの目が泳ぎまくっている。何かに動揺してるみたい。これ程分かりやすい男、そうは居ないわね。アタシがザザんちのお風呂に入るのがやな訳ね。これは絶対に行ってやるわ。

 それより暑いから早くシャワー浴びよ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ