ボディガード (4)
「アンタ、馬鹿でしょ。そろそろ降ろしなさいよ」
アタシはザザの胸をぽかぽか叩く。え、なにこれ、壁とか叩いてるみたい。人間の感触じゃないわ。
ザザはピョーンピョーンと屋根から屋根を跳んで行く。心臓に悪すぎる。
「アタシが変な奴に攫われたって大騒ぎになってるわよ」
「ん、お前、有名なんだろ。護衛に抱えられて跳ぶなんて日常茶飯事だろ」
「んな訳あるか! とっとと降ろせ!」
アタシはさらにザザをぽかぽかする。アタシの手の方が痛い。
「ぎゃあぎゃあうるさいな。ほら、降りろ」
やっとアタシは解放された。けど、ここって。
「アンタ、ばっかじゃないの? こんな屋根の上に降ろされてどうしろって言うの? 下からスカートの中丸見えじゃない。それにどうやって降りろって言うの?」
「え、跳んで降りれるだろ?」
「こんな所から飛び降りたら3回は軽く死ぬわ」
「非力な奴だな。そんなのでよく歌姫になれたな」
「歌姫に力なんかいらんわ!」
「そうなのか? 俺の知り合いの歌姫はゴブリンの10匹、20匹は軽く捻り殺すぞ」
どんな歌姫なのよ。悪魔か何かの間違いじゃないの?
「アンタ、歌姫に関して激しく勘違いしてるわね。歌姫は戦闘職ちゃうわ。歌姫は歌で全ての者を癒す者。可憐で美しくてはかない者なのよ」
「穿かないって、何を穿かないんだ? ああパンツか? あ、それでぎゃあぎゃあ言ってたのか?」
「ちげーわ。穿いとるわ。はかないってのは、弱々しくていじらしくて守ってあげたくなるような事よ」
「お前大丈夫か? それぐらい知ってる。それこそお前の事じゃないな」
げ、ザザの癖にアタシをからかってたの?
「アンタ、アタシのどこがはかなくないのよー!」
「そう言う所だ。飛ぶぞ」
「え?」
ザザはアタシをトンと押す。アタシはたたらを踏んで足が宙をかく。え、落ちる? 暗殺者じゃなくてボディガードに殺されるなんてシャレになってないわ。
「お手を失礼します。歌姫様」
落ちてくアタシの手をゴツゴツした手が掴む。良かった何だかんだで助けてくれるのね。え、下から風が。え、なにこれ。アタシたち風の上に乗ってる。アタシはまくれ上がりそうになるスカートを空いてる手で押さえる。アタシはザザに手を引かれながら風に乗り、ゆっくりと地上へと降りていく。何が起こってるの? こんな魔法見た事も聞いた事もない。そしてアタシたちは地上へ降りる。そして風は止んだ。
「アンタ、降りるなら降りるって言いなさいよ。ビックリするじゃない」
「お前が話を聞かないからだろ。はかないんじゃないんだな」
「アンタまだ言うの? 超絶美少女、可憐で美しくてはかないアタシにまだ何か文句ある訳?」
「白。腹黒いお前には黒がお似合いだろ。それに漏らしたらシミになるぞ」
え、パンツ見えてた? 不意打ちにアタシは顔が熱くなる。それにさっきちょっとチビったかも。
「漏らしてないわボケーッ! ぶっ殺す! ザザ、ぶっ殺す!」
「やかましい奴だな。ほら入るぞ」
「え、アタシのマンション? いつの間になんで場所、解ったの?」
全くザザには驚きの連続だ。
「そりゃ、依頼人の事は多少は調べるさ」
「へぇー。そうなんだ。それよりアンタ、女の子苦手そうなのに、なんでアタシにはデリカシーない事ズガズガ言えるのよ?」
「そりゃ、お前のようなガサツな奴はなんとも思わんよ。そんな事より早く家に入れよ」
ムキーッ! さっきはちょっとデレたと思ったのに。歌姫ライラの名にかけて絶対にコイツをデレデレに溶かしまくってやるわ!
只今、他の連載作品を連続投稿中です。一生懸命書いたので、是非読んで下さい。
『【改稿版】最強最弱聖女~最強の竜戦士から可愛い非力な聖女に変身して、役立たずと追放されたけど、規格外の心も癒す回復魔法で助けた愉快な仲間たちと無双します。戻ってこいと言われてももう遅い!』
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