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 空の王


「スリー・ツー・ワン・ゼロ・ファィヤー!」


 僕は意を決して虚空に身を投げる。なんか掛け声がまちがってる気もするが、そんなもんノリだノリ。東方ではこういう時に清水の舞台から飛び降りるって言うらしいが、やっぱり高い所からは飛び降りるもんじゃないな。なんて言うか、下半身のアレがキュッとすくみ上がる。今僕が何をしてるかと言うと迷宮都市のシンボルタワーである、魔道士ギルドの塔から飛び降りた所だ。頭から風を切り真っ逆さまに落ちていく。昔、太古の迷宮で落とし穴に落ちた事を思い出す。僕は収納から金色のポータルを射出し、落ちていく方向に配置して、先日収納に入れまくった強風を出しまくる。収納に入れた時の強風は僕の体を支える程の力があった。理論上行けるはず。どんどん落下速度が遅くなり、ついには止まる。上手くポータルから出す風を調整して、体勢を整える。なんかおかしな気分だ。下から風が吹き続けてまるで落ちていってるみたいだけど、フワフワと宙に浮いている。左右にポータルを配置し、移動する。なんて言うか、移動すると移動し過ぎるので、止まる時には逆から風を出してブレーキをかける。しばらく試行錯誤すると、ほぼ意のままに動けるようになった。

 収納に沢山の強風を入れて、まず考えた事は、もしかしたら上手く使ったら、高い所からの落下のダメージを減らせるんじゃという事だ。実際試してみて、まさか空中飛行出来るようになるとは思わなかった。今までは、ポータルを足場にして空を駆ける事は出来ていたが、それよりも滑らかに移動出来る。まだ、色々試して改善の余地はあると思う。

 上を見ると、僕の仲間たちがこっちを見ている。華麗に宙を舞いながら手を降ってやる。


「とおーーーっ!」


 叫びながら塔から飛び降りる影。角が生えてるからあれはドラゴンの化身のアンだな。奴はドラゴン形態の時、羽が生えてるのに飛べなくて、飛行にかなりの憧れを持っている。不器用なので、ポータルを足場に駆ける事も出来ないので、この強風飛行を試してみたくなったのたろう。けど、ご愁傷様だ。


「アバババババババハーッ!」


 僕の横を女の子がしちゃいけない顔で墜落していく。アンはポータルを扱うのは下手だ。この飛行にはかなり繊細なコントロールが求められる。


 ドゴン!


 なんか凄い音がしたが、まあ、アンなんで無傷だろう。ドラゴンだからな。


「いっきまーす!」

 

 次はマイが虚空に身を投げる。さすがだ、上手くポータルで風を操り、ぎこちないけど、空中飛行している。


「ザップ、気持ちいいけど、この風強すぎるわよね」


 髪を逆立ててマイが僕のそばに来る。それに服もビタビタ風に靡いている。


 ビリビリビリッ!


「キャッ!」


 マイのシャツが一瞬にして千切れたと思うや否や、マイは高速で上昇して遠くへ消えて行った。空中で着替えようとして上手くいかなかったようで、マイの服が空中に散乱していく。僕は飛行の練習がてらその服を回収していったのだが、その中に下着も混じっていた事は見なかっか事にしよう。空中飛行、まだ前途多難だな……

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