ゴミはゴミ箱へ
「役立たずのクソ野郎! お前を『ゴールデンウィンド』から追放する!」
俺はクソ野郎を追っ払う事にした。ポポロの鑑定によると、今手に入れた魔法の袋はクソ野郎ザップと同等の性能という事だ。これでザップはもう要らない。あのシケた面をもう拝む必要は無い。ムカつくんだよ。アイツの面見ると。あの恨みがましい目を見ると昔を思い出しちまう。何も持って無かった頃の俺を……
何言われたのか解んないって顔したザップから袋を取る。相変わらず貧乏くせー顔してやがんな。とりあえず一撃くれてやる。俺様が汚れないようにちゃんと靴の裏でだ。
「うぐっ!」
クソ野郎はゲロってやがる。汚えな、弱っち過ぎるだろ。
「そうね、この魔法の収納の袋があれば、ザップなんかもう要らないわよね」
ポポロが杖でクソ野郎をつついてる。ポポロもこのバイ菌童貞クソ野郎を毛虫のように嫌っている。だから、クソ野郎に触れるのは杖の先だけだと決めている。それにしてもポポロはいい体してやがんな。プリッとしたケツを揉みしだいてやりたい。けど、我慢だ。メンバーとやっちまったら、情が湧いていざという時に肉盾に出来なくなっちまうからな。
「魔法の袋は、飯も食わなければ、報酬も払わなくていいからな。それに、守ってやる必要も無い。今まで以上に探索がはかどるな」
俺様はクソ野郎に唾をくれてやる。マジでコイツをかばいながら戦うのは面倒くさかった。このビチビチクソ野郎には俺様の唾でさえももったいないな。しょんべんぶっかけてやりたい所だが、残念な事に今はもよおさない。
「契約解除だな。おい、ザップ、俺たちの荷物を全部出せ」
ダニーがザップに荷物を出させる。
ガツッ!
ダニーがダニ野郎を可愛がってる。おお、俺様良いこと言ってるな。さすが勇者、頭の作りが違う。
「まだあるだろう! 俺は全部出せっていったんだ!」
「ダニーさん、後は僕の私物しか……」
ゴスッ!
マリアがクソ野郎に蹴りをくれてる。うわ、マジ弱っちい、かっこ悪いな、ゲロの次は血ー吐いてやがる。それにしてもマリアのケツもいいなツルンとしてて手応えありそうだ。けど、見るだけで我慢だ。
「四の五の抜かすな! 全部だ・せ・よ!」
マリアの説得で、ザップは魔法の収納から全部の物を出した。さすが聖女は有能だ。けど生温いな、服まで剥げよ服まで。けど、クソ野郎のきったねー裸なんて見たく無いからまあいっか。
俺様の名前はアレフ・ペンドラゴン。竜の血を引く始めの男って意味だ。今は仲間たちと難しいって言われている迷宮に来てる。サクサクやって来たけど、ここにはボストロルがいるらしい。俺様にかかったらボストロルなんて屁でもないが、帰りの事を考えるとしんどそうなんで、ここまでにしてやるか。魔法の袋も手に入れた事だしな。あとここは薬ばっかで武器とかが落ちねぇ。俺様は武器が欲しいんだよ武器が。格好よくてつえーヤツがな。とっとと帰ってねーちゃん侍らして酒かっくらって寝よ。
「役立たずのクソ野郎! 達者で暮らせよ!」
俺様は荷物を袋に入れてクソ野郎に背を向ける。
「アレフさん、冗談ですよね……」
うぜぇなクソ野郎。
「冗談じゃねーよ! 今まで面倒みてやった分の報酬は、少ねーがお前の持ち物で勘弁してやるよ。まあ、服まで取らない分感謝するんだな、ハハッ」
「うわっ。アレフやっさしーい」
「ついてくんなよゴミ虫!」
ポポロとマリアが俺様に胸を押し当ててくる。ポポロもいいけど、マリアの小降りなのもいいもんだ。
「じゃあな! 無事に戻ってきたら1杯奢ってやるよ!」
相変わらずダニーは陽気だな。奢ってやるなんて優しいな。
「待ってくれ! 置いて行かないでくれ!」
「触んなよ! カス野郎!」
ん、いい音だ。ぶん殴ったのか?
「ウァアアアアアアッ!」
振り返ると、クソ野郎が穴に落ちていきやがった。マジか? どんくせー奴だな。まあ、落ちる方が悪い。ゴミはゴミ箱へって事だ。
そして、俺様はその事は忘れて街へ戻ったが、この事が俺様の無敵人生を狂わせる事になるとは微塵も思っていなかった……
まさか、ザップに全てを奪われる事になるとは……