表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/2094

番外編SS 荷物持ちと猫耳少女


 あたしの名前はマイ。少し前までは冒険者の荷物持ちをしていた。


 あの日は熟練の冒険者パーティーの荷物を持って原始の迷宮に入って三日目、順調に30層まで進んだ所で悲劇は起きた。


 パーティーは『オリハルコンの盾』と言う名前で、鋼の盾バーディーと言う、あたしの体が隠れる位の大きな盾をもった無口なリーダーに、エルフの格好いい弓使いさん、気のいい魔法使いのおじさん、優しい神官のお姉さんの4人だった。みんないい人だった。獣人のあたしにも優しくしてくれたし。


 リーダーが攻撃を一手に引き受けて、他の3人が倒す堅実な戦い方。それまでは、ずっとうまくいってた。トロル四匹ですらも倒してた。


 けど、終わりは突然だった。トロルと戦ってる時にリーダーが盾を落とし殴り倒されて、仲間達も次々に倒される。そして、あたしはトロルに殴られた所までしか覚えていない。

 今だから解るけど、リーダーの盾は使いすぎて限界だったんだと思う。あたしがもっと賢くて、あの時もっと早く引き返してたら……


 目が覚めたら、新種のモンスターが目に入った。前傾姿勢に刺のついた大きな鉄球のついた棒をもち、腰と肩に汚らしい皮を巻いている。ぼさぼさな髪に伸びかけた髭、目がやたらギラギラと光っていた。


 助けを求め辺りを見渡すと、そこは地獄。見る影もない冒険者たちと、頭のないトロルの死骸。多分、トロルはあのモンスターがやったんだ。次は多分あたしの番。



「キャアアアアアッ」



 気がついたら、口から悲鳴が出てた。あたしはこの時は気づいてなかった。殴られた怪我が治っていた事を。また、あたしは気を失ってた。


 次に目が覚めると、モンスターと思ってたものは、目を瞑り頭を垂れていた。黙祷してる? 冒険者たちに?


 あたしは、夢中で去って行った彼を追いかけた。


 そして、彼、ザップとの生活が始まった。


 始めのうちはとっても怖かった。臭いし汚いし粗野だし。


 けど、ザップは優しい。ばかみたいに優しい。

 助けてもらったから、少し位エッチなことされても我慢しようと思ってたけど、そんな事は全くなかった。あたしが着替えたり水あびしてたりしても、背中を向けてるか見えない所に行ったりする。あたしに魅力がないのか、それともザップは男が好きなのか本気で悩んだ。

 けど、あたしは知っている。たまに起きた時に寝たふりしてると、ザップがあたしのいろんな所をジロジロ見てる事もあるのを。奥手、ザップは女の子に慣れていないんだと思う。


 気がついたら、あたしの頭の中はザップでいっぱいになってた。

 けど、なんか悔しいから好きって絶対に言わない。あたしはザップに好きって絶対言わせてみせる!


 そんな事を考えながら、あたしは今日も宿屋の調理場を借りてみんなのご飯を作っている。


 多分ザップは外で鍛錬をしてる。今日も美味しいって言って貰えたらいいな。


みやびからのお願いです。


「面白かった!」「続きが気になる!」などと思っていただけたら、


広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、


ブックマークの登録お願いします。


 執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ