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 初めての討伐 (前編)


 あたしの名前はマイ。迷宮であたしを助けてくれたザップと下に向かっている。確かあたしたちが出会ったのは迷宮の地下30層。それから数えていたから今いるのは地下46層のはず。あたしが知ってる限り、ここ数年での『原始の迷宮』での最高到達階層は地下39層だから、あたしは今、伝説に立ち会っている事になる。けどザップは凄い。数体のとっても強そうなリザードマンに囲まれても、まるで赤子の手を捻るように無力化していた。その後、その首を切り落とさせられるのはとっても嫌だったけど……

 あたしは南の方で普通に暮らしているリザードマンを見た事がある。ここにいるのはただの魔物だとしても心が痛む。


 あたしは階段を降りるザップについていく。


「ねぇ、ザップ。次はどんな魔物が出るの?」


「犬だ」


「犬?」


 あたしはザップが犬って言ってるのがヘルハウンドの事だってすぐに気付かなかった。ヘルハウンドって犬って言うには大っきすぎるから、つい頭に浮かんだのは可愛いワンちゃんだった。けど、憂鬱だわ。あたしを強くするためってのは解っているけど、また、ヘルハウンドの首を切り落としまくるのか……まあ、人型じゃないだけマシだけど、でっかい犬の首を落とすのも可哀相だ。

 果たして階段を降りると、ザップが昏倒させたヘルハウンドの首を落としまくった。あたしは食料だと自分に言い聞かせて作業に徹する。そして血抜きをしてザップの収納に入れていく。どんだけ入るんだろ? しかもヘルハウンドは火の玉を吐くんだけど、ことごとくザップが手を振ると消えていく。なんとか何をしてるか聞き出すと、収納に入れているそうだ。なんて便利な収納なの! かなり強い司祭様とかじゃないと、あれを防げる結界は張れないはず。あたしの傷を瞬時に治してもらったし、ザップって、戦士で魔法使いで神官。どれだけ凄いんだろう!


「飲め」


 ザップが差し出したのはシルバーポーション。どうもまたあたしにくれるみたいだ。甘ーい! 甘くてとっても美味しい。生き返るわ。ザップ、これの価値わかってるのかな? それともお金よりあたしの方が大事って事?


「体が軽い。敏捷アジリティのポーションね!」


 さっきのは解らなかったけど、今度は何か解る。目に見えてあたしの体が軽くなった。自然と頬が緩む。


 そして、また階段を降りていく。スキップで階段を降りていきたい気分だわ。


 けど、ザップの顔は険しい。もしかして、ここからはザップでも大変なんじゃないのかしら?


「ザップ。あたしにも武器を貸して」


 階段を降り終えて切り出す。もしもの時は少しでもザップの力になりたい。今までは魔物にとどめを刺したあとはザップは武器を収納にしまってた。


「解った。邪魔になったら捨てろ」


 捨てる? とんでもない。


「ありがとう、ザップ。大事に使うわね」


 あたしたちは、ザップを先頭に警戒しながら進むけど、何故か敵が全く居ない。何も居ない部屋を幾つもくぐり抜ける。


 そして次は薄暗い大部屋。何か嫌な予感がする。


 入って行ったザップの先に、ポツポツと赤い小さな光が浮き出してくる。1つ、2つ、どんどん増えていく。炎、それとそれを照りかえす目? ヘルハウンドだわ。何体いるかわからない。これって……


「ザップ! モンスターハウスよ!」


 あたしはあらん限りに声を張り上げる。

読んでいただきありがとうございます。


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