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 リバースレインの森(前編)


「ザップ、お前は『さかさキノコ』は持ってないのかしら?」


 タブレットで読書してた僕とタブレットの間に、ヌッと美少女が横から顔を割り込ませて来た。不意打ちに僕は少しドキドキしてしまう。


「顔近い、近いから。どけどけ」


 危なかった、驚いてノノの顔によだれたれそうになった。

 今リビングにいるのは僕とハイエルフのノノだけだ。けど、ノノは導師ジブルと魔道都市に行ってたはずじゃ?


「お前いつ帰って来たんだ?」


「さかさキノコが欲しくて」


 相変わらず、話が噛み合わない。自由な奴だ。ところで『さかさキノコ』って何だ? なんか僕の知らない隠語なのか?


「カサカサキノコ?」


「さかさキノコよ。しょうも無い事言うってことは持って無いわね。ザップ、今から迷いの森に行くわよ」


「ちょっ、待てよ。2人でか?」


「そうね、ザップと2人でだと心もとないわね」


「どういう意味だ?」


「あんた戦闘以外、能なしでしょ」


「うっ……」


「マイー! マイー!」


 ノノは叫びながらリビングから出ていった。なんなんだ……



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「あと少しでリバースレインの森に着くわ」


 僕たちはワープポータルと魔法の絨毯であらよあらよと迷いの森についた。森の上空を絨毯で飛び、地上に降りた。ここからは風の精霊力が乱れていて、飛行系の魔法は使えないそうだ。今日のメンバーは僕、マイ、ノノ、魔法使いのルルだ。丁度ルルはジブルに資料をもって来たところだったそうで、強引についてきた。戦士、戦士、魔法使い、魔法使い。相変わらず尖ったパーティー編成だ。


「それで、ノノ、リバースレインの森って何なの聞いた事も無いわ」


 マイが鎌で道を切り開きながら、ノノに問いかける。


「え、マジで? リバースレインの森って雨が大地から空に降る森なのよ。そこに『さかさキノコ』が生えてるのよ」


 ノノが意外そうな顔している。僕たちが知ってて当然って顔だ。雨が逆に降る? 聞いた事無いな。


「ザップさんと『さかさキノコ』」


 何かルルが紙にメモしている。


「で、さっきから欲しがってる『さかさキノコ』って何なんだ?」


「超絶美少女エルフがザップさんの『さかさキノコ』を欲しがっている」


「おい、ルル。変に置き換えてメモるな。で、何なんだ?」


「さかさキノコって、リバースレインの森にだけ生えてるキノコよ。ひっくり返った形をしてて逆さまの傘に軸がついてるのよ。今、ノノとジブルで作ってる魔法薬の材料なの。これが良い商売になりそうなのかしら」


 なんか、ノノはジブルとつるむようになって商魂逞しくなりつつあるな。


「ついたわよ。って、雨降ってないのかしら」


 マイの前にジブルが出る。


「あ、あれかしら。竜穴の上にでっかい亀がいるわ。あれのおかげで流れが滞ってるのね。それでキノコが生えてないのかしら。ザップ行くのよ」


「超絶美少女エルフ、でっかい亀、キノコ、ザップいく」


「あの、ルルさん、悪意がある切り抜き止めてもらえませんか?」


「えー、ザップさん、悪意なんてないですよぉ。ただ起こった事をメモってるだけです。私、何か変な事言いましたー?」


 くそっ。コイツ確信犯だな。とりあえず置いといて、ノノが言ったでっかい亀を探す。


「おい、ノノ、亀なんていねーぞ」


「ザップ、何言ってるのかしら。あれよ、あれ」


「ま、まじか。岩かと思ったデカすぎだろ」


 うわ、多分、僕の家よりデカいな……

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