番外編SS2後編 荷物持ち討伐依頼を受ける
新作始めました。すこしエッチです。よろしくお願いします。
最弱最強聖女《最強の竜戦士、超絶美少女聖女に変身する》~役立たずと最強クランから追放されたけど、全てを癒す力で生み出した仲間の超人たちと無双します。クランに戻らないかと言われても【もう遅い】です~
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「ふごっ!」
子供の頭くらいの大きさはある石が、僕の頭に降り注ぐ。い、痛い! 普通だったら即死だよ。
弓矢を持ったゴブリンたちの部屋を落とし穴にかかったりしながら通り抜ける。
先は細長い道で、ゴブリンの背丈ぎりぎりくらいの高さしかなかった。
かがんで進みながら、暗闇から飛来する矢に悩まされる。
正直ゴブリン強すぎだろ。
駆け出しの冒険者の生計を担っているゴブリン退治の依頼が、まさかこんなに難易度が高いとは思いもしなかった。
冒険者って凄いんだな。僕はいきなり高レベルのパーティーに加入したので、下積み的な討伐依頼は受けた事が無かった。
そしてイライラしながらやっと隘路を抜けて駆け出したら、降り注ぐ石の山だ……
「ウオオオオオーッ!」
僕はたけび声を上げて、石を弾き飛ばす。今度は矢が飛んでくる。多分、普通の人間だったら軽く数回は死んでるだろう。
「助けてくれ!」
男の叫び声がする。
ここは大広間で、僕のいる所を底にしてすり鉢状になっている。
周りは高くなっていて、そこからゴブリンたちが僕に矢を射かけている。
正面には大きな杭が刺さっていて、それに上半身裸の腹の出た中年男性が縛りつけられている。
何故細部が解るかというと、壁際に幾つかのかがり火が焚かれていて部屋の全てを見渡せる。
「グギャギャッ!」
男の陰から出て来たヤギかなんかの頭蓋骨を被ったゴブリンが指から炎の矢を放つ。ゴブリンメイジだ。
バシュ!
僕はそれをハンマーで受け全力で前に走る。メイジ以外に多分6匹くらい確認出来たが、まずは人質最優先だ。錆びた槍をもったゴブリンがその穂先を男性に向けるが、その瞬間後ろに吹っ飛ばされる。後ろから石が飛んできた。
「ザップ! 援護するわ!」
見るとマイが部屋の入り口から子供の頭くらいの石を投げる。僕の顔の横を風をきって飛び、ナイフをもって人質に近づいたゴブリンメイジを四散させる。
もしかして、僕は要らないのではないか?
気を取り直して、ゴブリンを叩く。結果は僕二匹、マイ五匹だった。いかん、マイに負けてる。もっと修行しないと……
「ありがとう、助かった。町に戻ったらお礼します」
中年男性の縄をほどいてやると、跪いて僕たちに頭を下げる。マイは男を出来るだけ視界に入れないようにしている。サイズが合う服がないので、恒例のミノタウロスの腰巻きを渡す。もしかして、ミノタウロスの腰巻きは冒険者の必需品なのか?
「寒いですね、早く町に戻りましょう」
男は身を震わせている。
「黙れ! ゲスが!」
僕は男を死なない程度にぶん殴る。ムカつく奴だ。
「何するのよ! ザップ! 大丈夫ですか?」
マイが男に駆け寄る。
「なんで解った?」
男はどっかからかナイフを出して、マイの首筋にあてる。
「ゴブリンのボスがいない。それに、おまえはここにまだ他の部屋があるのを知ってるはずだ」
ここまでに、食物や宝物を入れてる部屋は無かった。多分ここらへんに隠し扉かなんかがあるはずだ。
こいつが本物の捕虜だったら、見てるはずだからまずそこに案内するはず。
それに、かがり火が焚いてあるのもおかしいし、あれだけ悪知恵がまわるゴブリンのボスがそう簡単に死ぬはずが無い。
僕たち以外にはこいつしかいないから、こいつがゴブリンのボスのはずだ。間違って殴ったのだとしても、謝れば許してくれたはずだ。
「ああ、そうだよ、俺がゴブリンの飼い主だ。そうだな、早く逃げようとしたのが間違いだったか、けど、馬鹿な奴だ、武器を捨ててもらおうか」
僕は即座にハンマーを放る。
「ゲヒャ、ゲヒャ、馬鹿か、そこでこいつがグチャグチャにされるのをみとけ、よく見るとかなりの上玉だなぁ!」
男は舌なめずりをする。きもい。
「馬鹿はお前だ、俺よりそいつの方が強い! お前は俺を人質に取るべきだったな」
「なにっ! 何を言ってやがる! な、ナイフが刺さらない、なんて固い首の筋肉だ!」
男は力を入れてるはずだが、ナイフは微塵も動かない。
「固い筋肉……失礼ねっ!」
マイの顔が紅潮する。怖い……
男は人相が変わるくらいどつかれた。
マイに筋肉も禁止、筋肉も禁止、僕は心に刻んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
見つけた隠し部屋から幾ばくかの金銭や貴金属を手に入れ、男をふん縛って、ゴブリンの討伐証明部位の右耳を集めて町に戻った。
男は魔物使いで、ゴブリンを使って悪さしてお金を貯めてたらしい。役所に突き出したらそこそこのお金になった。魔物使いが貯めてたものなどを合わせたら、しばらくは働かなくて良さそうだ。
けど、問題は……
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ザップー、訓練? 手伝おうか?」
マイが宿屋の窓から顔を出す。僕は中庭で素振りをしている。
「いや、手合わせはいいよ、素振りしよう」
誓っていい、今の僕ではマイに敵わない。
「そっかー、じゃ。頑張ってね」
マイは窓を閉めてどっかに行った。
僕は延々と素振りを繰り返した……まずは痩せないと……
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