鑑定のスキルポーション
この時マイが飲んだのは2つ目のスキルポーションなのに、勘違いしてたので修正いたしました。
「ザップ! ゴールド! ゴールド! ゴールド!」
あたしは興奮が冷めやらない。だって、この前もびっくりしたのに。ていうか一生もう目にする事が無いだろうと思っていたものが、再び目の前にある。だって、黄金のポーション、スキルポーションよ!
あたしの名前はマイ。とある冒険者の荷物持ちをしていたけど、あたしのパーティーは全滅してザップと言う野人さん? にお世話になっている。ここは迷宮の深い所。ザップが全滅させた、ヘルハウンドのドロップ品を探してる所だった。
あたしはその奇跡の品を高々と掲げる。黄金の液体が輝いている。美しい。
「ザップ! 焦げてるけど、これケルベロスだよ! 頭三つあったみたいだわ!」
「そうか」
う、あたしと比べてザップは無感動みたい。
「ザップ! 今度はザップが飲んで!」
あたしはザップに駆け寄り、その目の前に金色のポーションを突き出す。この前はあたしにザップはくれた。もうこんな貴重なものは貰えないわ。
「いらん、甘すぎる」
「そういう問題じゃないわよ。あたし、結構強くなったし」
「うぬぼれるな。飲め」
あたしはザップをじっと見つめる。本気なの? ザップの目は真剣。冗談じゃないみたいね。
「ありがとう! じゃ本当に、本当に飲むわね!」
あたしは瓶の栓を抜きビンに口をつける。口に広がる芳醇な甘さ。今まで飲んだどんなものより甘くて美味しい。ハチミツみたいだけど、それより上品。飲んだらカーッと体が熱くなってくる。
「美味しい! 最高!」
あたしはその美味しさの余韻にしばし浸った。
ザップはヘルハウンドをどんどん収納に入れていく。どんだけ入るのだろう?
あたしは、さっきザップが地面に投げ出したハンマーに目がいく。それにしても大っきいハンマーだ。あたしにも使えるかな?
「ザップのハンマー、触ってもいい?」
「ああ」
あたしは、ハンマーを片手で持ち上げ目の前にかざす。意外に重くないわ。え、なんか頭の中に流れ込んで来る。
「ミノタウロス王のハンマー+3! 特殊効果、取得経験値30%アップ、自己復元!」
「どうした?」
「頭に言葉が流れ込んできたの」
あたしはゆっくり地面にハンマー置く。今度はあたしの斧に集中する。
「ミノタウロスの斧、高品質! え、なにこれ!」
「なんで、わかった?」
え、て言うことは、これってミノタウロスのドロップ品?
「え、本当にミノタウロスのなの?」
あたしは言葉を失う。という事は、ザップはあのミノタウロスを倒した?
まさかね……
ただ拾ったのかも。
それよりも……
「もしかして、鑑定のスキル? さっきのゴールデンポーションは鑑定のスキルポーションだったの?」
あたしはつい自分に問いかける。まさかそんな事は無いわよね。けど、さっきのは明らかに鑑定スキルっぽかった。いや、間違いなく鑑定だと思う。
「よかったな」
え、たったそれだけ?
「よかったなって、ザップ! 鑑定よ! ずっと仕事にあぶれる事もないし、鑑定のスキルポーションは一番レアで値段がつかないものよ!」
詳しい値段は忘れたけど、たしか、小さなお城が建つくらいの金額だったような……
そんな貴重なものを、なんの取り柄もないあたしに……もしかしたらザップ、怒ってるんじゃ?
「いらんな」
え、いらないって、何言ってるのか解らない。
「あたしが鑑定……あたしが鑑定……」
あたしはその事がしばらく信じられなかった。何も出来なく、なんの取り柄もないあたしが鑑定。間違いなくザップと出会ってあたしの世界は変わりつつある。とってもいい方向に……
「行くぞ」
あたしに背を向けるザップを追いかける。あたしは心の奥底から溢れるものに抗えず、顔が緩みっぱなしだった。
第一部『第二十二話 荷物持ち武器鑑定してもらう』のマイSIDEです。下にリンク張ってますのでよろしければどーぞ。
https://ncode.syosetu.com/n8450gq/22/
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