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番外編SS2続中編 荷物持ち討伐依頼を受ける


「マイ!」


 駆け戻ると小部屋の入り口でマイがゴブリンたちに押し倒されている。


「ザップ! 痛っ……」


 三匹、どこから来た? それにマイがゴブリン相手に何故? ゴブリンのうちの1匹はナイフでマイの服を切り裂いてる。許さん!


 とりあえず近寄り、ゴブリンを三振りでぶっ飛ばす。マイを見るとシャツとその下の下着がはだけている。白い形のいい胸が見えかけてる!


「キャッ、ザップ待って」


 僕は後ろを向く。


「だめっ、助けて、動けないわ」


 振り返ると、マイは横になったまま両手で胸をおさえている。その両手には汚らしい腕輪がはまっている。


 えげつない拘束具だ。腕輪はトゲが返しでついていて、入れる事は出来るが取ろうとするとトゲが食い込むようになっている。マイの白い手から所々血が滲んでいる。やり場のない怒りがわく。

 しかもそれからワイヤーが伸びていて首を回って結び目がついている。腕を伸ばしたら首に食い込んでしまう。この状態なら僕でも動けない。無理矢理動くと自分の力で首が落ちるだろう。


 外すのにいい道具は何もないので、手で取るしか無い。まずは首と腕輪をつなぐワイヤーを少しづつ曲げて伸ばすを繰り返して折る。マイは寝転がったままで、どうしてもたまに触れてしまう。鼓動が早くなる。


「ごめんね、ザップ、油断した。けど、何も音しなかったし」


 ゴブリンの内一匹は武装してなかった。魔法職のゴブリンだったのでは?


「多分、メイジが混じってたんだろう。無音サイレンスの魔法じゃないかな」


 ようやくワイヤーが切れて結び目をほどき、マイの首は解放された。マイは上体を起こす。

 次は腕輪だ。これは厄介だ。右手からトゲを一本一本外側に曲げていく。マイは左手で胸元をおさえてはいるのだが、痛みがあるときとかに動き、何と言うか、要は見えそうになったり、いろいろ動いたりして気が散ってしまう。


「ザップ、ごめんね、あたしのせいで、指から血がでてる……」


「気にするな」


「ザップ、ごめんね、あたしのせいで、鼻から血がでてる…………なんで?」


 僕は無言で、マイの胸を指差す。


「キャアー! ザップー、えっちー!」


 マイはマント代わりの腰巻きを前にずらして胸を隠す。少し残念だ……


 それはそうと、いつも気に入って使ってもらってるが、マイはあれがミノタウロスの股間を隠していた腰巻きだと言うことは知らない。いつ告白しようか?


 気を取り直して、なんとかトゲを曲げて腕輪を外した。当然エリクサーを使って傷は完治させる。


「ありがとう、ザップ」


「ああ」


 僕は収納からマイの服の入ったトランクを出して後ろを向く。しばらくして肩を叩かれ振り返ると、着替えは終わっていた。収納にトランクをしまうと新しい松明を二つ出して火を点ける。結構な時間がたったので、古いのは置いていく。松明はマイにも一つ渡す。


 元来た道を戻ると、垂直に曲がっていた所のこちらから突き当たりに穴が空いていた。ゴブリンがかがんで通れるくらいの小さな穴の周りには石が散乱していて、さっき僕らが通ったときには上手く隠してあったと思われる。

 穴の周りは脆く、ハンマーで小突いて穴を大きくして先に進む。


 少し進むと突き当たりで、猛烈な悪臭がする。どうもゴミ置き場兼トイレみたいだ。壁を一通り叩いて何も無い事を確認して、T字路に戻った。


 さっきのゴブリンは、僕たちが通り過ぎるのを待って、小部屋に入るまで遠くから消音してついてきて、僕たちが弓をもったゴブリンに襲いかかる隙をついて襲いかかって来たと思われる。狡猾だ。


「マイ、俺の不注意で危険な目にあわせてすまない」


「何言ってるのよ、あたしも気付かなかったし」


「それでだ、マイ、ここに残れ。まだ厄介な罠があるかもしれない」


「嫌よ! 置いてかないで!」


 なんか懐かしい。不謹慎ながら涙ぐんでるマイがとっても可愛かった。


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