姫と筋肉 誕生(2)
「そうだよ、レリーフ、お前がマッスルに目覚めたきっかけを聞こうと思ってたんだよ」
筋肉叩きゲームは終わって、今はレリーフはなんかポーション的なものを飲んでいる。
「なんだ、ラパン。そんなに私の筋肉の事が気になるのか?」
レリーフはそう言うと立ち上がり拳を握り締め、お腹の前で付き合わせる。みるみる大きくなる筋肉。あれは確かモストマスキュラーというポーズ。嫌だ、名前覚えちまってる。気持ち悪い事この上ない。
「いや、気にならんな。全く」
僕は即座に答える。
「そうか。それなら話す必要は無いな」
レリーフは憮然としてテーブルに戻る。
「ええーっ、私は聞きたいな。どうやったらそんなに筋肉がつくのかを」
シャリーちゃんがレリーフの腕をツンツンしている。もしかしてシャリーちゃん筋肉好き?
「そ、そうか。お前は筋肉に興味あるのか?」
レリーフがシャリーちゃんを振り返り直ぐに視線を逸らす。あ、コイツ、シャリーちゃんの胸をチラ見したな。どーせ僕にはそんな立派なものついてないよ。
「私って、神殿育ちだから、回りはひょろいおっさんか女の子しかいなかったのよねー。とっても新鮮」
シャリーちゃんは更にレリーフをつつく。
「シャリーちゃん、そいつだけは止めた方がいいよ。そいつ一緒にいても豆食ってるか筋トレしてるかのどっちかだし、一緒にいると悪い意味で目立ちまくるよ」
「へぇー、レリーフさんの事沢山知ってるのね。もしかしてラパンやきもちー?」
「おいおい、誰がレリーフにやきもちなんか焼くか」
「私も興味ある。私の人生でこんな筋肉初めて見た」
ピオンがレリーフの前に座る。しかも頬杖をついて胸的なものをオンテーブルしている。生意気な。それにしてもピオンが人に興味を持つのは珍しい。
「そうか……」
レリーフはピオンから目を背ける。しかも少し顔が赤い。あ、また胸を見たな。
「わたしも聞きたいわ」
「私も!」
パイとケイもレリーフを囲む。レリーフの顔は赤くなって少しきょどってる。なにデレデレしてんだよ。レリーフの癖になんかモテてるみたいでムカつく。
「じゃ、レリーフ、みんなに話してやるんだな」
レリーフ達に背を向ける。僕は休憩室に行こう。
「待てラパン。私はお前に話を聞いて欲しいんだ」
「え?!」
僕は振り返りる。レリーフが鋭い目つきで僕を見ている。
僕たちはしばらく見つめ会う。
もしかして、レリーフ……
ん、奴の視線が下がる。
「筋肉の素晴らしさを教えてやる。まずは腕立て伏せから始めろ。この中ではお前が一番トレーニングが必要だ!」
「お前、今、僕の胸見ただろ。腕立て伏せで胸は大っきくならんわ。もし大っきくなんてもそれは筋肉だ。カッチカチな胸なんて欲しくないわ!」
「大丈夫だ。胸がカッチカチでも、ラパンはラパンだ。ていうか、今よりはマシになるだろ」
人が気にしてる事ばっか言いやがって!
「ぶっ殺す!」
僕はレリーフに飛びかかる。けど、みんなに阻まれて、お仕置きは出来なかった。いつか痛い目みせてやる!