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 猫耳少女と竜少女


「マイ姉様、唐揚げとっても美味しいです。それでですね。お恥ずかしながら、もう少しいただけないでしょうか?」


 アンちゃんが、上目遣いであたしを見る。あざとかわいいけど、これわざとじゃなくて天然なのよね。正直可愛いわ。クリッとした目はあたしより大きいし、髪の毛はあたしよりサラサラ。なんかそばにいるだけでいい匂いするし、ギューッとしたらフニフニなのよね。


 あたしの名前はマイ。最強の荷物持ちザップの片腕にして、参謀役だと思っている。ザップは何も考えずに直ぐ突っ込むから、いつもだいたいあたしがその後をフォローしている。今日もいい感じにそれが出来たと思う。


 そうよね、今日はアンちゃんのお陰でかなり助かったから、今日だけは大盤振る舞いしてもいいかな。

 あたしは収納から山盛りの唐揚げを出してアンちゃんの目の前に出す。


「ええーっ、いいんですか?」


 か、可愛い。目がウルウルしている。そんな顔されたらしょうがないわね。アンちゃんはフォーク二刀流でガツガツ唐揚げを口に放り込み始める。噛んでるのかしら? けど、あたしの作ったものをそんなにバクバク食べて貰えると少し嬉しい。けど、こんなにいっぱい食べてもアンちゃんは全く太らないのよね。あたしはついつい自分のお腹を触る。や、ヤバい。少しお肉がついてる。走り込み増やさないと。あたしは太りにくい体質って言ってるけど、本当は嘘だ。逆に食べると食べるだけ太っちゃう。そうならないように人知れず走り込んでるのは内緒だ。

 確かアンちゃんが太らないのはドラゴンに変身すると、めっちゃエネルギーを使うからよね。あたしも何かに変身できないかなぁ。けど、いまだに、アンちゃんがでっかいドラゴンって信じられない時もある。そういえば、最初に変身するのを見た時はとってもびっくりしたわね。あたしは、その時の事を今でもたまに思いだす。


 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「お前、よーく見ろ、俺はお前とは初対面だ!」


 少女は震えながら顔を上げてザップを見る。可愛い、ていうかあざといわね。ザップと少女は見つめあう。もしかしてザップってこういう可愛い系が好みなの? だからあたしには全く手を出さないのかも……


「お前、ここにいたドラゴンはどこにいったか知らないか?」


「え、話してて解らなかったのですか?私、ドラゴンですけど?」


 ん、何言ってるのこの娘。この娘がドラゴン? そんな分けないでしょ。たしかこういうのを中二病って言うのよね。けど、なんかザップは軽く驚いてるだけ。もしかしてこの娘がドラゴンだと思ってるの?


「あなたたち、何言ってるの、こんな可愛いドラゴンいるわけないじゃない」


 ザップと女の子は顔を見合わせる。なんかあたしだけ蚊帳の外だわ。


「ブレスを吐け!」


 ザップがハンマーをペシペシしている。どういう事?


「はいっ!」


 女の子は立ち上がると、ザップに向かって息を吐きかける。えっ、炎? ザップ! あれ、炎がザップの前で掻き消える。女の子が火を吐いて、ザップの前で消える。なにこれ、幻覚? あたしはおかしくなったの?


「よし、褒美だ!」


 ザップが虚空からヘルハウンドを一匹出した。


「私、あんまりヘルハウンドの肉は好きじゃないんですよ固いし臭いですし! お腹すいてるから頂きますけどね……」


「贅沢言うな!」


「すみません。このままじゃ食べにくいので、一旦もどりますね、ちょっと下がって下さい」


 女の子は大きく跳び上がる。光ったかと思ったらあたしは何かに弾き飛ばされた。


 なにこれ!


「ド、ドラゴン!」


 大きなドラゴンがヘルハウンドを口に咥えて丸呑みにした。もしかして次はあたしの番! あたしは身を起こすが力が抜けて立ちあがれない。と言う事は、さっきの女の子はドラゴン!


「よかった、ザップが変な事してた訳じゃなかったのね!」


 あたしは立ち上がって胸を撫で下ろす。良かった。ザップは変な事してた訳じゃなかったのね。それに俗にいう『ロリコン』ってやつでも無いのかも。


「あいつ、お仕置きだな! 俺たちを吹っ飛ばしやがって!」


 ザップが、ハンマーを握りドラゴンににじり寄る。


「止めて! あの子女の子なんでしょ、優しくしてあげて!」




 あたしは両手を広げてザップ前に立つ。このドラゴンってさっきの可愛い女の子なんでしょ。虐めるのは許せないわ。

 ザップはハンマーを下ろす。


 ドラゴンは一瞬光るとみるみる小さくなり、現れたのはさっきの少女。裸! と思ったら光りの粒が集まり服を作る。え、魔法? それほしい。


 女の子はあたしたちの所に歩いてきて口を開く。


「ごちそうさまでした」


 か、可愛い。もっと沢山色々食べさせたい。ドラゴンが女の子に変身する非常識より、その可愛さの方があたしには衝撃的だった。



 読んでいただきありがとうございます。


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