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 パイシチュー


「なんだこりゃあ?」


 僕は目の前に出された料理を見てつい声を上げてしまった。香ばしい匂い、パン、いやバターのような香りだ。匂いは明らかにそれから発せられている。マグカップを覆うようにキツネ色のモコッとしたものが存在している。なんかでっかいキノコみたいだ。


 今は夕飯時、テーブルにはサラダとパンと定番の鶏の唐揚げ、そして件の謎物体が鎮座している。テーブルには、僕、マイ、アン、ジブル、オブ、ノノ、久しぶりにみんな揃っている。


「熱いからカップ触っちゃだめよ」


 マイの言葉に僕は手を引っ込める。


「え、早く言って下さいよ」


 時遅く、ドラゴン娘はカップの取っ手を触っている。


「アンちゃん、熱くないの?」


「まあ、少しは熱いですけど、私、ドラゴンですから」


 僕はカップをつついてみる。うわ、マジで激アツだ。


「今日はパイシチューなのね」


 導師ジブルがなんかドヤっている。


「パイシチューってなんなのですか?」


 オブが問いかける。僕も知りたい。


「シチューの上にパイを被せて焼いたのよ。可愛いでしょ。じゃあ冷める前にたべましょ」


 マイの説明で少し解ったような、解らないような? 


「パイってあのサクサクしたヤツだろ。決して隣の忍者2号や……」


 アブねー、あと少しでペナルティの所だった。マイの前ではセクシャルな話は禁止だ。


「うん、そのパイよ」


 マイ様はスルーしてくれた。セーフ。


「ザップが言いたかったのは、違うパイの事かしら? パイシチューからシを抜いたら?」


「黙れノノ。それより早くいただこう。冷めちまうだろ」


 なんとか勢いでノノを黙らせる。マジでノノは子供かよ。見た目は可愛いのに、頭の中が残念すぎる。


「「「いただきます!」」」


 ノノとオブはルール通り野菜から食べている。ノノは痩せたけど、習慣になったんだろう。


「これ、どうやって食べるんだ?」


「こうやるのよ」


 マイはスプーンでパイをつついて割る。ほわんと、湯気がたつ。なんか壊すのもったいないな。けど、他に上手く食べる方法が思いつかないので、僕もそれに倣ってスプーンで壊す。中にはビーフシチューが入っていた。湯気と一緒に美味そうな香りが広がる。


「出て来ないですよ」


 アンはカップを持って、口の所で傾けている。そりゃパイが蓋になってるからな。


「あちちちちっ!」


 パイが割れて、ドラゴン娘が思いっきり顔にシチューをこぼしている。熱いのに強いんじゃなかったのか? けど、優しいマイがアンをフキフキしてやっている。コイツも子供だな。

 シチューと一緒にパイ生地も口にいれる。マイのシチューは美味しいし、パイの食感も面白い。


 そして僕たちはワイワイとパイシチューを楽しんだ。



読んでいただきありがとうございます。


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