冷やし中華始めました
『冷やし中華始めました』
僕が愛顧している担々麺屋さんに新しいメニューを送ってもらうと、その上に大きくこの文言を書いたチラシが乗っていた。
僕は今リビングでくつろぎタイムだ。昨日一昨日と働きまくったので、自分に対するご褒美だ。
担々麺屋さんの名前は何とか楼という名前なんだけど、何度見ても忘れてしまう。あと定期的にメニューを送ってもらってはいるのだが、いっつも担々麺しか頼んで無い気がする。僕の収納の中には常時100食の担々麺が保存してあり、減るたびに、収納のポータルを使って注文時して補充している。最近は暑いので消費が減っている。
「へぇー。冷やし中華始めたのね。じゃ今日はそれにしよ」
マイがチラシを摘まむ。鶴の一声で今日の昼食は冷やし中華に決定した。
今日は導師ジブルと廃エルフのノノと黒竜の化身オブは魔道都市に行っているので、昼食は僕とマイとドラゴン娘アンの3人だ。
「ねぇ、ザップ。ゴマ味と酢醤油味の2種類あるみたいだけど、どっちにする?」
え、なんだと! 冷やし中華にはゴマ味なるものがあるのか? 僕は今までの人生では酸っぱいヤツしか食べた事が無い。とは言っても冷やし中華を食したのは去年が始めてだけど。
「ええーっ。ゴマ味もあるんですか? それなら両方でお願いします」
むぅ、今日だけは底なし腹のドラゴン娘が羨ましい。奴は何故かどんだけ食っても太りやがらない。僕も両方いきたい所だけど、やっぱり昼からそれは食べ過ぎだろう。
「むむむむむっ」
僕は悩む。どっちにするべきか?
「ねぇ、ザップ。どっちか選んで。そしたらあたしはそれじゃない方選ぶから」
おお、さすがマイだ。マイまじ神。
「解った。それならゴマでたのむ」
「じゃあたしは酢醤油ね。アンちゃん、今日だけは両方いいわよ」
「やったー。マイ姉様ありがとうございます。まじ神ですね!」
なんか、さっきから僕が思ってる事をドラゴン娘は口に出している。いかん、奴と思考がシンクロしてるのか。もっと賢く生きないと。
紙に注文書いたのとお金を収納のポータルで担々麺屋さんに送る。待つことしばし、冷やし中華が次々とポータルで送られてくる。麺の上に錦糸玉子、胡瓜、ハムの細切り、トマト、海草とモヤシがのっている。黄色、緑、肌色、赤、濃い緑、カラフルでとっても美味そうだ。
「「「いただきます!」」」
僕とマイは新たに食器を出して半分こ。アンの前には丼2つ。僕たちは箸を手に、麺をすする。まずは酢醤油。冷たい麺に少しの酸味ありさっぱりしてていい感じだ。小皿に別添えの辛子をとって付ける。ツンとするがいいアクセントになって食が進む。いかん、食べ比べないと。次は初体験のゴマ味。おお、これも美味い。担々麺好きな僕にはこれも捨てがたい。それに思ったよりあっさりで、するする口に入っていく。
「それで、ザップはどっちが好き?」
マイが僕に問いかける。
「んー、僅差で酢醤油かな。暑い時にはこの酸味がいい感じだな」
「そうですか? 私はどっちも最高です」
もうドラゴン娘は完食していた。僕ですら半分も食べてないのに。
「しょうがないな。お替わり頼んでいいぞ」
「ザップー、あんま甘やかしちゃ駄目よ」
「今日だけは、あと一杯だけいいぞ。どっちにするか?」
「ええーっ、選べないですよ」
今日は気分がいいので、両方頼んであげた。夏に向けて冷やし中華もストックしよう。
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