表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

828/2111

 精霊王と黒竜王の戦闘


「みんなまとめてブタになるのよ!」


 精霊王と称される、ぽっちゃりハイエルフのノノの手から白い光が放たれる。その光はクニョクニョと蛇行し、次々とゴブリン共を突き抜けていく。そして、そこに現れたのは肉塊と行っても過言じゃない、太り過ぎた豚のようになゴブリン5体。恐ろしい、ヤバすぎるだろ。ノノが前にオブにかませたのはかなり手加減したヤツだったのか。ノノの本気恐るべし。ゴブリン、太り過ぎて立てなくなって尻もちついてるぞ。もはや何の生き物なのか解らない。絶対にノノだけは敵に回さないようにしよう。


「あとは任せたわ。黒竜王」


「解った、妖精王」


 ドタドタと走って行く肥満児。浅黒い肌に切れ長の目の少年。黒竜王の化身オブだ。

 ちなみに僕たち3人は今、北の森に魔物狩りに来ている。目的はダイエット。しっかり走り回って痩せる予定だ。このままだと、僕ら3人の食事はマイの命により野菜のみになっちまう。





「黒竜王爆砕撃!」


 なんか言いながらオブはデブリン、いやデブゴブリンに殴りかかる。まぁ、この際デブリンでいっか。オブの拳がデブリンに突き刺さる。


 ぺちん!


 軽い音がするだけだ。デブリン、微動だにしない。ノーダメだな。


「黒竜王ブレスよ!」


「おうとも」


 ノノにオブが威勢よく答える。


「深淵より来たりし、我が腐食の息で骨も残さず溶かし尽くしてくれるわ」


 能書きなげーよ。しかも子供の高い声だから様にならない。


「食らえ、ふーっ」


 オブは口を尖らせて、息を吹き出す。誕生日の蝋燭消しみたいだ。その吐息は徐々に黒くなる。デブリンに当たるが何も起こらない。ただ、辺りにスルメや魚の干物を焼いたような臭いが立ちこめる。オブのドラゴンブレスは、只のたちの悪い口臭なのか?


「くっそー、何て奴だ。僕のブレスが効かないなんて。そっか、奴は元々腐ってるようなものだから効かないのか。くうっ、なんて強力な魔物なんだ。精霊王、加勢してくれ」


 おいおい、それは太ってるから何の種族か解りにくくなってるが、ゴブリンだろ? どこが強力なんだ?


「しょうがないわね。解ったわ。ノノに任せるのかしら」


 ぽっちゃり少女がドタドタ駆け出してデブリンに迫り、気の抜けたチョップを叩き込む。


「ちぇすとーっ!」


「そいやっさー!」


「あちょー!」


「あべしっ!」


 2人でなんか奇声を上げながら、デブリンをぴちぴち叩いている。激でぶっちょに群がるぽっちゃり2人。何の余興だ? なんか動物がじゃれあっているみたいにしか見えない。多分、あれは、母さん豚にかまって欲しくてちょっかい出す子豚たちだ。けど母さん豚は疲れてるから寝たふりをしている。そうだな、僕がもし母さん豚の立場だったら、あんな面倒くさそうな子豚はガン無視するな。動物を見てるとほっこりするものだ。


「…………?」


 いかんいかん、さっきの外道な薬がまだ残ってるのか、頭がすこし変な感じだ。アイツらは豚じゃないっつーの。

 ペチペチされてるデブリンはホケーっとしてて、残りの奴は寝っ転がっていて鼻提灯を披露してる奴もいる。なんかそこはかとなく平和な光景だ。ここはそっとしことう。アイツらにはいい運動になるはずだ。


 僕は黙ってその場を後にした。


 あいつら、敵としては厄介だが、味方としてはゴブリン以下だな……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 下から集英社のオフィシャルサイトに移動できます。よろしくお願いします。
最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ