ピクニック
「「ウオオオオオオーッ!」」
巨大な斧を手にし、吶喊していく少女たち、約6名。なぜ約かと言えば、角が生えた奴は斧をフリフリ応援だけに徹しているからだ。
眼前に広がる子鬼の軍勢。暖かくなって巣ごもりから出てきたゴブリンが王を得て行軍してきたものだ。王を得たゴブリンは数段強くなる。どんな弱い生き物でも意志を持ち群れを成すと厄介になる。
雲霞のように群れる子鬼たちの軍勢に5条の線が入る。5人の少女たちが通った後に残る累々たる屍。子鬼の軍勢は程なく瓦解し、戦いは乱戦の体となる。子鬼たちは逃げる間もなく蹂躙されていく。
2本の巨大な斧を回転しながら振るう赤髪の少女。少女冒険者4人の1人、戦士アンジュだ。彼女が躍るかのように回転するたびに血飛沫が舞う。旋風、赤い竜巻だ。
それから少し離れた所で、とりわけ無骨で傷だらけの両刃の斧を振り下ろす振り上げるの反復を繰り返し、子鬼をなぎ飛ばす黒いローブの少女。動くたびに子供の頭程ある巨大な胸が暴れまわる。魔法使いのルルだ。なんて野蛮な戦いだろうか。胸、痛くないのか? いつもは『ファイヤーボルト』の魔法を引っ掴んで殴りかかるという、少しは魔法使い入った戦い方をするのだが、ゴブリン如きには魔法は不要という事か。少し興味があるが、あんまりルルを見ていたら、後でマイにどやされる。
また、それから少し離れた所で、金色の髪に細身の麗人。まるで何事もなく散歩しているかのように構える事なく歩きながら片手で棒で虫でも追っ払うかのように斧を振るっている。エルフの野伏のデルだ。片刃の斧を振るうたびに、目の前のゴブリン数匹がぶっ飛んでいく。よく見ると斧の背で殴り飛ばしたゴブリンがその後ろのゴブリン数匹を巻き込んでいる。ゴブリンの後続が居る時にはぶっ飛ばし、居ない時にはその首を刎ねている。さすが合理主義者。まあ、けど、その合理主義は若干歪んでいる気もするが。
そして冒険者4人の最後の1人。神官衣に身を包み、低い構えから地を這うように斧を打ち上げ続ける黒いポニーテールの髪の少女。神官戦士のなんとかさんだ。影が薄いので、名前を思い出せない。強いんだけど、近接戦では4人の中で中堅で、胸が大っきいのだけど、ルルには劣る。格闘が得意らしいけど、デル程ではない。ようは器用貧乏なんだろう。それが目立たない要因なんだと思う。個人的には好みのタイプなんだけどな。
そして、ひときわ大きな王の首が宙を舞う。そこに立つのは大きな鎌を手にした少女。風に髪を靡かせて、大鎌で空を切り血糊を払う。
マイが大鎌を天に突き上げる。それに倣い斧を掲げる少女4人。それが戦いの終わりの合図だった。
今日は休日で、みんなでなんかしようとかなんとか言ってたらこうなった。これって決して女の子の休日の過ごし方では無いよな?