光魔大戦
大戦の名前を変えました。なんかよろしくなかったので。2022.5.6
「『光魔大戦』まずはそれから話す事になるわ」
ぽっちゃりエルフのノノが口を開く。その隣にはぽっちゃり少年のオブが座っている。
ここは東方諸国連合の魔道都市アウフの魔道士ギルド本部の会議室。横に伸びたドーナツ状の机の上座にノノとオブは座っている。足が短くて地につかず、足をプラプラしてるから威厳もへったくれも無い。
部屋にいるのは、この前の神竜王侵攻に関わった仲間たち。僕、マイ、アン、導師ジブルに、少女冒険者4人、ラパン率いる『みみずくの横ばい亭』のメイド軍団と、北の魔王リナ。
発端は僕が前に戦った羽根が生えたウォーモンガー達、俗に言う天使についてノノに聞いていた所に居合わせたマイが、この内容はみんなで共有した方がいいって言いだして、あらよあらよと事が大きくなって、この会議室を貸し切りにする事になった。ここでのやり取りは導師ジブルが筆記し、公開すべき内容は後日関係国の首脳に伝えるそうだ。
そして、珍しくノノは真面目に話し始めた。所々、オブが補足しながら。
遙か昔、神話とよばれる時代に全世界を巻き込んだ戦いがあった。光に属するもの、魔と呼ばれる闇に属するもの、中立のもの、それら全てを巻き込み、最終的には2つの軍勢に分かれた。光と闇に。終わることなく争い続け、最後には全軍衝突し戦いは熾烈を極めた。それは後に『光魔大戦』と呼ばれる事となった。勝利したのは光。闇の軍勢の方が遙かに強力だったのだが、闇は個、光は群。闇の軍勢は恣意的なのに対し、光の軍勢は協力し連携し、いつの間にか勢力は逆転し、辛うじて勝利を掴んだ。
けど、この戦いにより神と呼ばれていたものは光の1柱を残しこの世界から消え失せたという。
そして、平和が続くかと思いきや、こんどは生き残った超常者、光の神とその率いる神の眷族と古竜たちが争い、その双方とも歴史から消えさった。この戦いは後に『竜王大戦』と呼ばれる事になった。
そして、人の世を迎えた訳だけど、光の眷族や、闇の眷族で力あるものの幾つかは、消滅する事なく、封印や異界に追放されたものなどもいるそうだ。天使軍勢はそのうちの1つで、ノノもオブもこれ以上は詳しく知らないそうだ。
「これからも調査は継続しますので、進捗があれば、報告します」
そして、ノノは口を閉じた。1回もふざける事無く。
光と闇と古竜。僕にはそれらがどういうものなのかは解らない。
ただ僕が祈るのは、これ以上面倒くさそうな奴らが現れることなく、平和が続く事だ。