表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

820/2102

 ペペロンチーノ

 なんとなく、個人的にはこの話のような、ほっこりゆるふわ的な空気が好きです。2022.5.6


「ペロペロン……」


 ドラゴンの化身アンが頑張っている。


「ペペロンチーノよ」


 マイが訂正する。


「ペロペローンノ?」


 まだ上手く言えない。


「ペペロンチーノよ」


「ペロペロンチーノン」


 それでもドラドラゴンは上手く言えない。汚い言葉や悪口はすぐに覚えてペラペラ言いまくるのに全くもって不憫な生き物だ。


「ペペロンチーノよ!」


 マイの言葉が強くなる。


「ペロペロチン、むぐっ」


 ここで僕はテーブルの上のパンをアンの口に投げつける。奴は咄嗟に口を開けて食する。コイツ、もう今はわざとだな。なんとか奴が致命的な言葉を吐くのは防げた。


「おい、アン、それくらいにしとけ。変な事言うと、マイに尻尾ちょん切られるぞ」


「スミマセン。ペペロンチーノですね。やっと覚えました」


 ペペロンチーノって流暢に言えてる。やっぱ途中からわざとだったんだな。


「ふーん、よかったわ!」


 マイは張り付いた笑顔。ちょびオコだ。こりゃ、話題を変えないと。


 ちなみに僕らは今、街のカフェで昼食をとっている。最近出来たカフェで、パスタが美味しいと言う事でマイに強引に連れて来られた。ペペロンチーノが特に美味しいと言う事でオーダーして出てくるのを待っている。


「所で、ペロペロチーノってなんて意味なんだ?」


「あれ、ご主人様、今なんておっしゃいました?」


「お前が変な言葉言うからだろ。ペペロンチーノ、ペペロンチーノ」


「もしかして、ご主人様、ペロペロし、むぐっ」


 またパン攻撃でアンの口撃をなんとか封じる。これ面白いな。またやってみよ。


「マイ、ペペロンチーノってなんて意味なんだ?」

 

「ペペロンチーノって、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノって言葉の略で、西の言葉で唐辛子って意味だそうよ」


 ほう、そういう意味なのか。


「じゃ、辛いの苦手で、ペペロンチーノの唐辛子抜きを店とかでお願いしたら変な事になるな」


「そうね、唐辛子パスタの唐辛子抜きをお願いしてる事になるわね。あと、似たようなので、カルボナーラのブラックペッパー抜きっていうのもあるわ。カルボナーラって『炭を焼く人』って意味で、カルボナーラのブラックペッパーの粒々が、炭を焼く人に炭の黒い粒々がついてるみたいでそういう名前になったらしいから、おかしな事になるわ」

 

 そうなのか。お店とかで頼んだら多分何の問題もなく要望に応えてくれるとは思うけど、なんか賢くなさそうに見られそうだな。少しかっこ悪い。勉強になった。

 それにしても、マイは料理の事になると特に饒舌になる。料理、本当に好きなんだな。


 そして、ペペロンチーノが運ばれてきて、僕たちは美味しくいただいた。んー、けどな……

 僕はマイに顔を寄せて小声で話す。


「なんか、美味しかったけど、マイが作ってくれるのの方が美味しいな」


「え、本当? ありがとう」


 それからマイは終始上機嫌で、アンは5皿もペペロンチーノお替わりを許可されていた。アンも上機嫌だ。そういう2人を見てる僕も上機嫌だ。こんど家でマイにペペロンチーノを作って貰おう。


読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。


 とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ