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 いふ


「なんで、俺の回りは女の子ばっかりなんだ?」

 

 僕はつい呟いてしまう。僕の前には女の子の一団。マイ、アン、ジブル、冒険者4人戦士アンジュ、野伏レンジャーデル、魔法使いルル、神官戦士ミカ、『みみずくの横ばい亭』のラパン、元大神官シャリー、忍者ピオンとパイ、猫耳のケイ、それに魔王リナたちがワイワイ歩いている。僕達は王都に軽く食事に来ていたのだが、いつの間にか膨らんでこうなった。僕は少し離れて歩いている。


「じゃ、男の子がいっぱいの方が良かったのかしら?」


 いつの間にか僕の隣を歩いていた、子豚もといノノが答える。


「いや、そんな事は無い。別に不満は無いけど、下心とかそんなの全く無いはずなのに、こんなに仲がいい知り合いが女の子ばっかなのは不自然だなと思ってな。なんか理由があるのかな?」


「そうね、明らかに不自然ね……」


 そう言うと、ノノは腕を組んで考え始めた。


「あの、僕は一応男なんですけど」


 僕の横でオブが何か言ってるが、コイツはノーカンだ。最近存在感が薄すぎる。小説とかで強大な敵が仲間になったりしたら、メッチャ強かったはずなのに全く役に立たない典型だ。


「うん、これならいけるかしら。面白そうだし」


 そう言うとノノは前の女の子集団にむかって駆けて行った。何を思いついたのかは解らないけど、『面白そう』って言ってたのが気になる。アイツの面白いは大抵僕にとっては悲惨な事だからだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「それでは今から、『なぜザップの回りは可愛い女の子ばっかりなのかを突き詰める会』を始めます」


 ノノが黒いスーツに眼鏡という格好で壇上から挨拶する。その脇にはジブルがこれもまた眼鏡とスーツで小脇に書類を抱えて立っている。何のコスプレだ?

 ここは魔道都市アウフの魔道士ギルド本部の小さめな講堂だ。ノノたちの後ろには白いスクリーンがあり、その前には謎の魔道具がある。僕の仲間や知り合いは講堂の席についている。マイ、アン、少女冒険者4人、『みみずくの横ばい亭』メイド少女達と、魔王リナに四天王の人魚ナディアと久しぶりに猫のモフちゃんまでもいる。みんな忙しいはずなのになんでこんな下らなさそうな会合に集まったのか謎だ。

 そしてまたノノが口を開く。


「私とこの導師ジブルで作成した魔道具で、ザップと誰かの出会いを見る事が出来ます。その状況がスクリーンに映し出されます。それで、ザップとその対象者の記憶を元に作る人工精霊が、もし対象者が男だったらどうなったかをシミュレートしてくれます。実験の結果、人工精霊のリアクションは99%の正確さを誇ります。それでは誰か協力いただけないでしょうか?」


 僕の横に来たジブルが僕の頭に金属のヘアバンドを問答無用でつける。


「人工精霊とリンクさせる魔道具よ」


 ジブルはそう言うが、なんか釈然としない。


「なんで俺がそんな事せにゃあかんのだ?」


「え、何いってるのよ。これでザップが下心で女の子を集めてる訳じゃないって事が証明できるわ」


「そうか、そうだな」


 僕は納得してしまった。


「はい、それなら私とご主人の馴れ初めを見たいです」


 アンが手を上げて同様の魔道具を頭につける。馴れ初めって表現は止めて欲しいな。


 そして部屋が暗くなって、スクリーンに魔道具から光が出て映像が映し出された。





「じゃ、あたしたちと一緒に来ない?」


 マイが少年に微笑みかける。角がある美少年、あれは男バージョンのアンだな。場所は迷宮の中、最初に人間のアンと会った所だな。


「何言ってんだ!」


 画面の中の僕がいやづらで拒否る。


「え、そうですね、別にする事ないし、いいですよ」


「じゃあ、マイについて行け、俺は一人で行く!」


「んー、ザップ、お肉さばけるの? お料理つくれるの? もしかして固くて臭いお肉が好きなの?」


「うっ! だが、俺はこんな奴を連れてくつもりは無い! 男と群れるくらいだったら生肉食ってた方がマシだ」


 そう鬼のような形相で言うと、僕の人工精霊はマイと男アンに背を向けて歩き始めた。


 なんていうか、回りからの視線を感じる。あれは人工精霊、僕じゃない。僕はそこまで言わないはずだ……

 

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