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 空中戦


「それでは、ザップさん、今度こそ始めましょうか」


 僕の前に立つ麗人。金髪を1つに纏めたエルフのグラップラーのデルが口を開いた。玲瓏珠の如き声、沈魚落雁羞花閉月。古の、呪文のような美人を表現する系の言葉が頭をよぎる。その顔には涼しげな笑顔。デルはどれだけ格闘が好きなのだろか? 純白の道着に黒い帯が映える。今日はその道着に土を付けてみせる。


 今日はデル先生の格闘技講座。メンバーはいつメン、僕、マイ、アン、レリーフ、パムだ。前回の講座はなんだかんだでうやむやに終わってしまったので、今日は基礎練習のあと組み手をする事になった。僕はデルに試してみたい事がある。


「デル、今日は少しスキルを使ってもいいか?」


「いいですよ。けど、力だけは加減して下さい。ザップさんに全力でこられると、その力の前には技が入り込む余地がないです」


「わかった。力は抜く」


 まあ、これだけはしょうがない。僕の剛力のスキルは無駄にレベルアップしてるからな。


 僕とデルは構えてしばし対峙する。


「では行くぞ」


 先手必勝。僕は跳び上がる。そしてデルに向けて突進し、テレフォンな跳び蹴りを放つ。デルは間合いを取ってしゃがみ、僕の着地点に水面蹴りを放とうとする。


「とうっ!」


 僕は空中に収納のポータルを出してそれを足場に後方宙返りで跳び退すさり、更にデルが上段の足刀蹴りで追撃してくるのを、また空中に足場を出して攻撃が届かない高さまで跳び上がり、新たな足場を出して空中に留まる。この前僕は天使相手にウンザリするほど空中戦をしまくった。それが対人だとどうなるか試してみたかったのだ。


「デル、こういう時はどうやって戦うんだ?」


 僕は上からデルを見下ろす。なんか少しだけ優越感があり気分がいい。


「そうね、もし実戦だったら投擲具に頼るしかないわね。けど、今日は徒手空拳。こっちからの攻撃が当たらない以上、待つしかないかしら」


 そう言うと、デルはいつもより少し腰を落として構える。

 そこで僕は重要な事に気付く。道着を上から見下ろすと襟の中がよく見える。デルは今日は残念な事に下にシャツを着ているのだが上からだと中が見えて上品なその胸の膨らみが見えている。僕の角度を調節したらもう少しでその先端が見えそうだ……

 いかんいかん、ついスケベ心が出てしまった。あんまり見てたらマイにばれる。先日のパムの姿が頭をよぎる。ボコは勘弁だ。

 今の状態では僕から出来る攻撃も限られてるように見えるが、僕には奥の手がある。男は黙って右ストレート。水に飛び込むかのように足場を蹴って頭からデルに向かって飛び込む。デルは微動だにせず構えている。


「ぅしゃあっ!」


 落下中に足場を出して蹴って急加速する。そして黄金の右を突き出す。もらった。さすがに落下中に加速するとはデルも思ってないはず。女子を殴るのは趣味じゃないが、これは勝負。あとで癒してやる。あれ、デルが消えた?


 ゴスッ!


 顔面の前に現れた拳。そう思った時には空中をグルグル回りながら吹っ飛ばされていた。


「なんだ? 今の?」


 僕はグニョグニョな視界の中、なんとか膝をつき身を起こす。


「カウンターよ。あんな直線的な攻撃、カウンター放ってくれっていってるようなものじゃないですか」


 僕を笑顔で見下ろすデル。


「ところでザップさん、私の胸、ガン見してましたよね」


「えっ?」


「対戦中に相手がどこ見てるかとかは丸解りですよ。マイ姉様」


 ん、僕の背中から回される腕。背中に柔らかい感触?


 どごむっ!


 気が付いたら僕は頭から大地に叩きつけられた。バックドロップか? 痛ぇ……


 僕はエリクサーで回復しつつ、転がって逃げる。ユラリと僕に近づく2つの影。いかん、脳振盪か解らないけど、ふらふらで上手く動けない。そして、僕は一方的にマイとデルに嬲られた。

 

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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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