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 耳を動かす


「それでは、ザップさん、始めましょうか」


 僕の前に立つ麗人。金髪を1つに纏めたエルフのグラップラーのデルが口を開いた。純白なしみ1つない道着に黒い帯を締めている。


 今日は久しぶりのデル先生の格闘技講座。メンバーは、僕、マイ、アン、レリーフにパム。いつものメンバーだ。一通りの基礎練習を終えたあと、僕らは組み手をする事になった。


 僕は構えてデルを見る。その耳は長くとがっているのだが、後ろに流れピタンと頭に貼り付いている。前々から気にはなってたのだが、耳、どうやってるのだろうか? 組み手の前に聞いてみよう。


「デル、前々から気になってたんだが、お前の耳って戦う時にはペタンと後ろについてるよな。それ、どうやってるんだ」


 ピクン。ピクン。


 デルは耳を動かす事で答えてくれた。凄い、普段の斜め上に伸びた状態から、動いて綺麗に頭に貼り付く。


「ザップさん。私達エルフは格闘術を習う際に最初に耳の動かし方を習います。激しい動きや、特に寝技の時に強く擦ったりすると耳が太くなったり、最悪千切れたりするのですよ。千切れたのは、まあ、縫ったり薬とかで治癒しますけど、太くなったら元に戻らないんです。それに、擦れたり千切れたりしたら、とっても痛いですからね」


 そう言って、デルは耳を動かす。そう言えば、エルフの耳って触った事無いな。うう、触ってみたい。


「ザップさん達は耳が短いから必要無いと思ったんですけど、ちなみに皆さんは耳動かせるんですか?」


 そんなん動かせるか。僕は耳に集中してみるけど、全く動かない。なんか色々やってみるが、眉が動くだけだ。


「あたしは動くわよ」


 マイが猫耳をクルッと少し回転させたり、伏せたり立たせたりしている。うお、いかん、誘惑が強すぎる。触りたい。触りたい!


「私は先生程じゃないですけど、そこそこに」


 レリーフが耳を動かす。デルほどでは無いが、しっかりと後ろに動く。けど、よく見ると少し耳が太い。誰にやられたんだろう? まあ、1人しかいないか。


「おいらは、どこでも動かせるよ」


 パムが耳を動かす。そして次は交互に耳を動かす。のみならず、次は交互に鼻の穴を膨らませる。え、そんな事出来るのか?

 僕達はそれに倣いしばらく鼻の穴をヒクヒクさせた。マイとデルの貴重な変顔を見る事が出来た。美人は少し鼻の穴が大きくなっても美人なんだな。ぶきっちょなアンは鼻の穴を大きく出来ないみたいだ。色々変顔をしている。

 パムは更に眉を交互に上下させながら、耳を交互に動かしつつ、鼻の穴も交互に膨らませている。


「パム、すげぇな。凄いけど、ここまで来たら、ほとんどただの変態だな」


「ザップさん、ありがとうございます。おいらは吟遊詩人だから結構なんでも出来ますよ。けど、変態は酷いですよ。あっ、そうだ、あと自慢出来る動かせる所っていったらここも動かせますよ」


 そう言うとパムは騎馬立ちになる。ん、どこが動いているんだ? よく見ると股間がヒクヒク動いている。どうもぶら下がっているものを動かしてるみたいだ。馬鹿だ。コイツは馬鹿だ。


「パム。ギルティ……」


 マイの聞いた事の無いような低い声が響く。瞬時に動く2つの影。そして、パムはマイとデルにボコボコにされた。こえー、デルも下品禁止なのか?


 そして、練習も終わり、お風呂で僕も動かせないか試してみたが、無理だった。パムすげぇな。けど、何の役に立つんだろうか?


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