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 いさかい


『コーヒー、うんめー』


 家の隣のレストラン『みみずくの横ばい亭』のコーヒーは美味い。僕はコーヒーにはあんまり詳しくないが、ローストされた香ばしさがあり、酸味が無くビターな感じで、とっても僕好みだ。良し悪しは解らないけど、僕的にここのコーヒーが美味い事は確かだ。口には出せないけれど、マイのコーヒーよりこっちの方が若干美味い。まあ、ここのは売り物、プロだからな。

 僕は今『みみずくの横ばい亭』で無聊を満喫している。ランチも終わりお客さんは僕だけだ。何気なく店内を見ると、メイド服のラパンとケイが話をしている。メイドはあともう1人、パイがキリキリと働いている。ラパン達を見てると、ケイの鼻息が荒い。顔も赤い。怒ってるな。しばらく話してからケイはプンッと振り返り店を出て行った。ラパンは困り顔だ。なんのトラブルだろうか? 


「どうしたんだ?」


「んー、なんて言うかねー……」


 ラパン言うには、今日の仕事のシフトはパイが昼夜通しで、ケイは昼までだったそうだ。仕事のシフト管理はラパンがしていて、今日は元々はケイが2時半上がりで、パイが2時から4時休憩予定だった。けれど、今日は暇なので、パイとケイのどちらかを上げようと思って、まずは、パイに何時間休憩が欲しいか聞いたら1時間半欲しいそうなので、4時には準備があるから戻ってきて欲しいので、2時半から休憩という事にして、2時にケイを上げたら、ケイがその事について抗議してきたそうだ。

 ラパン的には、長時間はたらく者は疲れるから、その方の希望を出来るだけ聞きたいし、ケイは早上がりだから、少しでも早く上げて自分の時間を満喫して欲しいと、みんなの事を思っての采配だった。なのになぜか、いつもだったら上がりが早くなったら喜ぶケイが、計画変更はおかしいって怒りはじめて、ラパンはその事の意味が解らないし、ケイに何を言ったら機嫌が治るかわからないとの事だ。


 うわ、なんて面倒くさいんだ。ザ、女子トラブルって奴だな。

 けど、ラパンが困ってそうなんで、しっかりと考えてみる。

 まずは、ケイはいつもは早く上がれると喜ぶのに、今日は早く上がれた事に怒っている。なぜ早く上がれたかと言うと、パイが休憩が短くていいと言ったから。と言うのはこういう事だろう。


「ラパン、ケイが怒っているのはパイの希望によってケイのシフトが変わったからだ。ケイ側から見ると、ラパンはケイよりもパイを大事にしているように見えるからだ。ラパン、まずは、その長く働く者の希望を聞きたいって事をケイに伝えて了解をとってからシフトを変えるべきだったのだろう。やっぱ誰でも他の人より大事にされて無いって思ったら傷つくだろ。上に立つ者は、部下全員を一番大事にされてるって思って貰えるように扱うべきだ」


 正直、女の子って面倒くさいな。僕だったら早く帰れるラッキーで終わるけどな。それより、意地やプライドが大事なのが女の子なのだろう。ちなみに、偉そうなこと僕は言っているが、これはこの前読んだ『ハーレムを上手く行かせる方法』って本の受け売りだ。もっとも僕がハーレムを作りたい訳では無く、たまたま題名が面白そうだから読んだだけだ。


「そっか。じゃ、どうすれば、ケイの機嫌は治るかな」


「そりゃ、平謝りしかないだろう。それで大事にしてるって事をアピールするしかないだろ」


 僕はコーヒーの代金をテーブルに置いて店を出る。最近ノノにばっかり構ってて、臍を曲げてるマイに謝りに行くとするか……


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