手と手を取り合って
空が金色に染まり、端の方に雲の上に乗った門が見える。あれが開いたら、天使と言われる羽根が生えたウォーモンガー達が現れる。アイツらは意思はあるみたいだったが、戦闘においてはただ攻撃あるのみ。味方がやられようが、四肢欠損しようが容赦なく攻撃を仕掛けてくる。狂信者、それが相応しい呼び名だろう。自分たちが奉じる者のためだけに戦い、その他の存在を認めない。その他の声に耳を傾ける事さえしない。それが正義と言うのなら、僕は喜んで悪になってやる。
前回はイニシアチブを取られたが、今回はそうはいかない。僕はポータルを足場に空を駆ける。
「ザップ、私も加勢するぞ」
リナが追っかけてくる。
「俺も加勢する」
ラパンと絨毯に乗って皇帝もやって来る。
そして門が開き、翼のある生き物たちがワラワラと門から湧き出してきた。
「食らいやがれっ!」
僕は天使共に近づくと、まずは、収納の中のアダマックスの鱗を全て放つ。これで結構な数の天使が落ちた。地上に落ちた奴は騎士たちがなんとかしてくれるだろう。
「剣の王、槍王!」
収納に入っている、投擲用の剣も槍もすべて吐き出す。まるで虫の大軍が火に飛び込んだかのように、天使共がポトポトと落ちていく。
「金色魔王砲」
リナから放たれた金色の光の帯がこれまた多数の天使を落とす。
そして、僕は『絶剣山殺し』を収納から出し、残った天使達を殲滅し始めた。僕をすり抜けた奴らは、リナと皇帝とラパンが対処してくれる。直接地上に向かう奴らもいるが、僕の仲間たちや騎士たちが遅れを取る事は無いだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
どれだけの時間が経っただろうか? まるで永遠と思われるような時間を戦い続けた。予知の世界で腐る程奴らをぶっ倒したお陰で、奴らの動きは手に取るように解る。それでも数が数なので、無傷では無い。エリクサーで傷は治るが、疲労がたまり精度が落ちてきている。僕はもう大剣を振るう力も無く、瘴気の金槌で天使と戦っている。リナは天使から奪った武器を手に、皇帝は黄金のランスを手に縦横無尽に空を駆ける。
どれだけ倒しても倒しても、天使は湧き出してくる。しかも倒すスピードよりも湧く方が多く、少しづつ押され初めている。
「グワッ!」
リナが天使の光の矢を食らいバランスを崩す。それをラパンが絨毯で拾う。僕はハンマーを手に空を駆け、一通り近くにいる奴をぶっ叩く。
「ザップ、俺を投げろ!」
僕の上に来た絨毯から皇帝がダイブしてくる。うえっ、女の子ならまだしも男が飛び込んでくるのは勘弁してほしい。僕は皇帝を上手くハンマーに引っ掛けて天使の1番密集している所に放り込む。
「投げ方、投げ方!」
なんか皇帝が言ってるが、余裕ありそうなので死にはしないだろう。放物線を描く皇帝に数えきれないほどの天使の放った光の矢が突き刺さる。
チュドドドドドドーン!
そして皇帝は金色の爆風を巻き起こした。かなりの距離があるのに、僕たちも強風に煽られ吹っ飛ばされる。おい、やべーな自爆。ほぼ全ての天使が呑み込まれた。空中で体勢を立て直す。爆発的の下の方にラパンが絨毯で飛び込み皇帝を拾う。それを確認して僕はハンマーを手に残党狩りを始めた。
そして、門から湧く天使は尽き、煌びやかな鎧を身に纏う、天使の親玉みたいな奴が現れた。
「ゴゥアツ!」
まず仕掛けたのは皇帝。親玉が大きく仰け反る。多分、見えないブレスだろう。
「金色魔王砲!」
すかさずリナから放たれた光の帯が親玉を包み込む。やったか? いや、まだだ。
僕は既に駆け出している。そして、光が晴れた瞬間に、ハンマーを大上段から振り下ろす。
「ドウリャーーーーッ!」
ボムッ!
破裂したかのような音を立てて、親玉はまっしぐらに地上に突き刺さり土砂を巻き上げる。やべ、下に人いねーよな。さすがにこれで生きてはいないだろう。けど、一応確認に地上に降りる。
砂塵が晴れたあとには、ぽっかりと空いた穴の中央に刺さっている動かない親玉。僕は穴を埋めてやる。
「終わったーーーっ!」
僕は大地に手足をなげだす。後はなんとかなるだろう。
少し眠りたいとこだけど、聞こえてくる足音がそれを許してくれないだろう。
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