目覚め
「グァッ。いつつつつつっ……」
全身の痛みに顔をしかめながら僕は目覚めた。誰かが癒してくれたんだと思うが、痛みと疲労で体が重い。
「良かった。やっと気が付いたみたいね」
僕を逆さまに上からのぞき込む顔。逆光だがすぐに解る。特徴的な猫耳がピコピコしている、マイだ。ん、僕は何をしてるんだ。まるで寝ぼけてるみたいで頭がうまく働かない。なんか、同じようなシチュエーションを体験したような? もしかして、また、予知が発動したのか? 戻ったのはリナと神竜王にぶっ飛ばされて、マイに膝枕されてた時なんじゃ? 頭の下には暖かく柔らかい感触、多分、マイの膝だ。勿体ないけど、僕は跳ね起きて、辺りを見渡す。
「よお、やっと起きたか。俺をぶっ倒した割にはだらしない奴だ」
金色短髪の美丈夫、帝国皇帝がマントを羽織って地べたに座っている。そうか、よかった。予知では無い。僕は皇帝を倒したんだ。
「ご主人様、今回私は良いとこなしですよ」
アンだ。元気そうでなによりだ。なんか久しぶりな気がする。
「そうよ、いきなりみんな裸になるとは思わなかったわ」
幼女導師ジブルが目をキラキラさせている。多分たくさんの男たちの裸を見ることが出来てご満悦なんだろう。やれやれだ。因みにアンもジブルも服を着ている。
「ザップさん、私たちも頑張ったんですからね。その仕打ちがアレとは酷いっす」
アンジュと少女冒険者4人も地べたに座っている。
「ザップ、僕たちは予測してたから遠くで見てたよ」
絨毯に乗ったラパンだ。オブとのノノもいる。見渡すと、『みみずくの横ばい亭』のメイド連中も冒険者『地獄の愚者』たちもいる。この戦力なら問題ないだろう。
「ザップ、皇帝さんは、戦う気はないそうよ」
脇をつつかれて見ると、マイが僕に微笑んでいる。なんとか今の所は予知をぬりかえて上手くいってるみたいだな。
「そうだな、まさかステゴロで神竜王の力を得た俺をぶっ倒す奴がいるとはな……」
皇帝はそう言うと目を瞑る。
「もし、なにかあったとしても、お前と俺が組めばなんとかなるだろう。お前1人で王国、いや世界に匹敵するんじゃないか?」
「おいおい、そりゃ言い過ぎだろう。それにまだ、終わってない」
僕がそう言ったところで、小さいぽっちゃりな生き物が割り込んでくる。自称ハイエルフのノノだ。
「そうよ、光の眷族の封印が解けかけてるわ」
「あ、お前はもしかして妖精王か?」
「そうよ」
皇帝にノノが答える。
「え、そんなはず無いだろ。アレを封印したのは5つの竜神器だぞ」
「ごめんね、ゴル。僕の黒曜杖は、粉々になっちゃった」
ニコニコ笑う、目つきの悪い少年が皇帝の前に現れる。
「もしかして、お前、オブか? ちんちくりんになっちまって、ていう事は他の3つも?」
「多分、ぶっ壊れてるんじゃないかな?」
「ま、まじか……」
なんか僕を置いて皇帝とオブが和んでいる。仲良しさんだな。
「と言う事だから、その封印とやらを解いて、天使をぶっ倒すのを手伝ってくれ」
僕は皇帝に近づき右手を差し出した。
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