表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

795/2106

 決着


「全てを統一するまで、俺は負けない!」


 皇帝の振るった拳をそのまま受ける。一瞬意識が持ってかれそうになる。いい一撃だ。たたらを踏むが歯を食いしばりなんとか持ちこたえる。


「そんために、どんだけ犠牲を出すつもりだ!」


 僕も拳を握り、皇帝に叩き込む。奴も避ける気は微塵も無いみたいだ。僕の渾身の一撃が皇帝の左頬に刺さる。しっかりとした手応え。やったか?

 皇帝は大きく体を揺らすが、数歩後退すると両手を膝につきながらも持ちこたえる。


「得るためには、失うもんなんだよ! ガキみたいな事いうな!」


 再び皇帝は僕を殴りつけてくる。一直線に伸びた拳は僕の鼻にのめり込む。おお、痛ぇ。ヘロヘロの癖になんて力強いんだ?  これが国を背負う者の力か? 頭がチカチカするが、僕は強引に踏みとどまる。


「そんなの、やってみねーと解らんだろ。俺は全てを拾い上げる。失ってたまるかよ!」


 あいつが背負っているものが国ならば、僕が背負っているのは世界だ。世界が残酷なものならば、抗って抗って抗って優しいものに変えてやる!

 僕は仰け反る体を引き戻し、僕の得意な打撃、ハンマーを振り下ろすように拳を皇帝の肩に叩き込む。


「おお、痛ぇ。けど、ザップ、まだまだだ」


 皇帝は拳を放つ。


「お前こそ、まだまだだな」


 お返しにまたぶん殴ってやる。


 気が付くと、僕らの周りを遠巻きに裸の騎士と鱗がはげたドラゴンが囲んでいる。僕が殴ると騎士から歓声が、僕が殴られるとドラゴンから鳴き声が聞こえる。

 僕たちは殴り殴られ、殴り殴られ続ける。



 どれだけ時間が経ったのだろうか? なんてしぶとい奴だろう。どんだけ殴っても皇帝は立ちあがってもくる。お互い肩で息をつき、僕は限界を超え気力だけで立っている。気を抜くとぶっ飛んじまいそうだ。エリクサーなんかは使わない。どちらの気持ちがより強いか、皇帝よりも僕の想いが強い事を証明してやる!


「倒れやがれ! 世界は帝国が導いてやる!」


 皇帝の拳が伸びてくる。僕はそれを顔で受け止める。駄目だ倒れそうだ。気が遠くなる。もう力が力が出ない……


「ザップー」


 マイか?


「「「ザップ、ザップ、ザップ」」」


 僕を呼ぶ声がなんとか意識を引き戻す。予知で見た動く者がいなくなったここの風景が心をよぎる。変えてやる。変えてやるんだ。僕を取り囲むみんなと笑える未来を勝ち取るんだ。


「うおおおおおおおーっ! 失ってたまるかーっ!」


 最後の力を振り絞り、右手を握りしめ皇帝に叩き込む。駄目だ、力が入らない。なんてへっぽこパンチなんだ。こんなのじゃスライム一匹も倒せない。


 ペチン……


 なんとか、命中する。え、なんだ? それは今までに無く、容易く振り抜けた。皇帝はフラフラと後ろに下がる。そうか、皇帝も限界だったんだな。かろうじて立つ力しか残ってなかったんだ。

 皇帝はそのまま後ろに倒れると動かなくなった。胸は動いているから死んではいない。


「「「ザップ、ザップ、ザップ!」」」


 僕の名前が連呼される。


「おおおおおおおおおおーっ!」


 僕は天を拳で突き上げ、雄叫びを上げた。そして、力尽きてその場に崩れ落ちた。

読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。


 とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 下から集英社のオフィシャルサイトに移動できます。よろしくお願いします。
最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ