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 折れぬ心


「グゥオワッ!」


 開いた神竜王の顎から放たれる、目に見えない打撃を剣の腹で受ける。さすが脳筋、放つブレスも完全物理だ。ただ勢いよく息を吐く。それだけで常人を破砕してしまう程の攻撃に昇華している事には驚きだ。不可視なのは厄介だが、予備動作が大きいから初見殺しにすぎない。間髪を入れず振るわれた丸太のようなかいなをくぐり、僕自慢の化け物大剣を振るう。奴を追い込み過ぎると爆発すると思われるから、剣の腹でしたたかに殴り吹っ飛ばしてやる。飛ばしたポータルから神竜王にエリクサーをかけながら、さすがに大剣は小回りが利かなすぎるので、収納にしまい、得物をハンマーに変える。そして、叩く、叩く、叩く、叩く、エリクサーで回復させる、叩く、叩く、叩く、叩く叩く。

 もうほぼ意のままにポータルを足場に高速移動しながら痛打を叩き込めるようになった。奴はデカい体が仇になっている。


『まさか、この竜の体でここまでやられるとは……』


 頭に響く神竜王の声。それを境に奴の体がみるみる縮み始める。そして、塩の上に現れたのは裸の男。帝国皇帝だ。神竜王が暴れまくったので、塩の大地は踏み固められていて、皇帝はそこに立ち、大振りの黄金色のランスを構えている。あれが、竜神器ゴルドランなのか。


「第2ラウンドだな。我に力を、古竜魔法『ゴルドラン』!」


 皇帝の体が黄金色に染まる。まるで悪趣味な彫像みたいだ。僕は大地に降り立ち構える。そしてしばらく対峙する。


「うおおおおおーっ!」


 皇帝が吠えながら、ランスで突進してくる。距離を取ってかわすが、さらに突っ込んで来て、連打を放つ。アウトレンジでは不利だ。一瞬、山殺しを出そうかと思うが改める。山殺しでは多分皇帝に傷をつける事は出来ない。あの金色の趣味が悪い体はかなりの硬度を誇るはず。収納スキルでランスを強奪しようとするが効かない。前にもリナに効かなかったような、何らかの加護があるのだろう。皇帝の足場にも強奪を試すが効果が無い。

 皇帝が裸でランスを繰り出すのをなんとかかわし続ける。たまに擦る攻撃が容易く僕の肌を切り裂く。世界魔法にMPをほぼ使ったおかげで、ザップハンマーの古竜の力が使えるのは一瞬だけ。なんとか皇帝の隙をつかないと。ランスを破壊するか? いや、それは不味い。封印が解けて天使が今わらわら出て来たら、全滅は必至だ。ランスを破壊しないで奪ってやる。


「ドウラアッ!」


 皇帝が気合と共に放つ渾身の一撃をハンマーの球の中心で受ける。上手くいった! ハンマーに大きく穴を空けながら僕にその切っ先が迫る。ここだっ!


「アダマックス!」


 ハンマーの色が銀からにびに変わる。ハンマーの時が止まり不毀化する。金色のランスの先はなんとか僕に届かない。


「うおぅりゃあーっ!」


 気合を入れ、足を踏ん張りハンマーをかちあげる。金色のランスは跳ね上げられ、すっぽ抜けて飛んで行く。僕はさらに踏み込み体重を乗せた横薙ぎを皇帝に叩き込む。


「ガゴムッ!」


 まるで、金属同士を打ちつけたかのような音と共にハンマーが皇帝の腹にのめり込む。


「ぐぅぼぉう……」


 皇帝は後ろにたたらを踏む。そして数歩下がると、後ろに倒れこんだ。そして、フラフラと起き上がる。


「まだだ。俺は帝国皇帝。この体動く限り諦めん」


 皇帝の体は金色ではなく元に戻っている。そして構えると、拳を握りしめ僕に迫る。


「そうか、とことん付き合ってやる」


 僕は収納にハンマーをしまうと、同様に拳を握りしめた。



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