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 禁呪

 あと、数話で第三部も終わります。それまで突っ走ります。後で誤字脱字修正しますので、よろしくお願いします。


 『吸魔の珠』を掲げ、魔法を練りながら僕は思いを馳せる。


 遠い遠い昔、人々は何も持ってなかったと言われている。岩を削って武器を作り、動物の皮を剥いで衣服を作っていた。大自然や魔物の脅威にさらされて、生きていくだけでやっとだった。けど、その世界では人間同士の争いは少なかったに違いない。争う暇があれば、互いに手を取り合い、様々な脅威に立ち向かったはずだ。

 僕の目の前で戦う、人間達と竜種。人々は金属の武器と防具を、竜種はその強き鎧を恃み、愚かな事を繰り広げている。お互いの望みは平和、主観が違うだけに過ぎないのに。


 世界を変質する事で、その愚かな行為に終止符を打ってやる。


 予知の世界で魔法を解放した事で、その魔法についてより感じる事ができる。ノノは僕に魔法の練習もさせたかったのだろう。『精密な世界』、ノノの使った魔法は世界の名を冠するだけある。あの世界線での経験は間違いなく僕の中で生きている。辛く悲しく苦しかったあの思いは無駄じゃ無かったんだ。


 足りない。まだ足りない。『吸魔の珠』の中のMPだけじゃこの戦場を覆い尽くす程の効果を発揮できないだろう。あと少し足りない。僕は魔法に更に自分自身のMPを注ぎ込む。


「ピオン、大事なものは収納にしまって、魔法が終わったら、すぐに服を着るのよ」


 目の端で、マイがマントを羽織ってしゃがんでいる。多分、あれは要らないマントで、下は裸で手で体を隠しているのだろう。魔法対策だと思うが、集中が乱れそうだ。


「了解!」


 なんと、ピオンは裸で座って両手で胸を隠している。確かに、それなら僕の魔法で失うものは無いだろう。けど、人として大事なものを失ってないか? いかん、ついつい谷間をつくってる巨大な胸に目が行ってしまう。周りで戦っていた騎士達の手が止まる。

 気を取り直し、ピオンにやられそうになりながらも魔法を完成させる。最高だ今までで1番の仕上がりだ。そして、トリガーである、力を持つ言葉を紡ぎ出す。


太古の世界プリミティブ・ワールド!」


 僕の突き出した右手から溢れ出した光の奔流が弾ける。同じミスは二度はしない。右手に持つ『吸魔の珠』と身につけているミノタウロスの腰巻きを収納にしまう。僕を中心に同心円状に光が広がっていく。辺りに広がるどよめきの声。光の中僕は足場を失い落ちていく。そして、柔らかいスナックのようなものに着地して、腰くらいまで呑み込まれる。あ、せめて飛んで逃げれば良かったかも。また、塩まみれだ。辺りを包みこんでいた喧騒は収まり、白い世界は静寂に包まれた。

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