戦線離脱
「グゥオオオオオオオオーッ!」
背後から咆哮が?
グワッ!
何だ? 背中に激痛が?
『消えろゲス野郎!』
これは神竜王の声? 墜落しながら振り返ると、口を開けた神竜王。ブレスか何かを食らったのか? そして落ちて行く先にはリナが!
「金色魔王砲!」
両手を突き出したリナから放たれた光の帯が僕に迫る。全身バラバラになったような痛みで反応出来ない。そして、僕は光に包まれて、気が遠くなっていく………
「問答無用っ!」
嬉々として飛び込んで来たリナが大剣を振るい襲いかかってくる。
「うわっと……」
なんとかかわして、それからの猛攻をしのぐ。え、また、戻ってる? 確かリナの渾身の一撃をくらったはず? なんだ何が起こっている? 取り敢えず間合いを取らないと、考える余裕もない。水平に振るわれたリナの剣にハンマーを添えて、その威力で吹っ飛ばされる。距離がとれた所でポータルを足場に空中停止する。なんか少しづつ空中戦にも慣れてきた。
『ザップ、また、未来を見たのね。どんなんだった?』
ん、ノノの声? 遠話の類いか?
「ああ、最悪だった」
まあ、最悪な事したから因果応報ではあるが。
『しばらく、魔法の余波で予知を見たりすると思うから。危険予知みたいなものよ』
そうなのか、良かった、さすが世界魔法。凄い。けど、予知なのか現実なのか解らないのが難点だな。けど、これでかなりのリスクを回避出来る。マイと同じくリナにも下品は厳禁だ。まさかぶっ殺されかけるとは……
少し考えてる間に、リナが神竜王の方に飛んで行く。アイツ、目標を変えたのか? リナが神竜王に襲いかかる。狂犬かよ。
僕はポータルを足場にして蹴りながら高速移動する。
「止めろ、リナ」
僕はリナが神竜王に振り下ろした大剣をハンマーで受ける。足場が小さいので、正直こたえる。
「止めたいなら、力で止めろ。神竜王、お前と戦う前にこの邪魔者を排除せぬか?」
『そうだな。私も現代のアシュガルドの魔王と力比べをしてみたい。まずは邪魔者には退場してもらうか』
ブゥオン!
風を切る音がするが、リナの剣を支えてるから動けない。
「うがっ!」
横から大木のようなものに強かに叩かれ、吹っ飛ぶ。いかん、軽く腕とあばら数本持ってかれたぞ。エリクサーを体に振りかけながら、なんとかポータルを出して、空中停止する。
「金色魔王砲!」
『食らえ、竜王圧縮砲』
リナの突き出した手から金色の光、神竜王の開いた顎から金色の塊が僕に迫る。ヤバい、あれ食らったら下手したら死ぬ!
「アダマックス!」
ハンマーに不毀の力を宿して前方に突き出す。少しは盾になるはず。
両腕の焼け付くような痛みを感じつつ、僕は激しくぶっ飛ばされた。
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