乱戦
「我が名は、金色の北の魔王『リナ・アシュガルド』! 邪悪な妖精王の封印は解けた。これにより不戦の約定は反故となった。神竜王ゴルドラン! この世に旧世界の遺物は必要無い。混沌を巻き起こす者として妾が引導を渡してやる!」
リナ・アシュガルドの良く通る高い声が戦場にあまねく響き渡る。んー、なんか僕と名乗りが似てるな。あー、僕はあんなに恥ずかしい事をしてたのか。冷静に見ると顔から火がでそうだ。
そして、彼女たちは素早くパンツから巨大な剣を取り出し天に掲げる。そうだったな、残念な事に奴のパンツには収納の能力が付与されていて、そこから色々取り出すんだったな。神竜王側から見たら、かなり間抜けな動きだが、王国軍の方からは見えなかった事だろう。すこしは羞恥心という言葉を覚えたのかな? そしてリナは王国騎士団の方に振り返る。
「人間共よ妾に続け! この場だけは力を貸してやる!」
金色のツインテールに金色のビキニアーマーの上下。掲げるは人の背丈ほどある肉厚な大剣。少し痴女っぽくはあるが、まるで神話の戦乙女が降臨したみたいだ。若干、王国騎士団から感嘆の声が漏れている。禁欲生活の騎士団の連中には少し刺激が強いのかもしれない。
「オオオオオオーッ!」
リナは神竜王の方に向き返り、なんか唸りながら、宙に浮き始める。いつの間にこんな芸を覚えたのだろうか? そう言えば飛んで来たし、なんか浮いたりとか羨ましい事をさっきからしている。
「出でよ! 暗黒魔王鎧!」
リナはササッと股間から黒い物を取り出すとそれを目にも留まらぬ早業で身に纏っていく。そして、そこには歪な紋様に埋め尽くされた要所要所を守る部分鎧を纏った金色の魔王がいた。出でよと言ったわりには自分で取り出して装着したのは減点だが、めっちゃ格好いい。金と黒のコントラストが美しい。
「神竜王とその眷族よ! 妾の力をしかと見よ!」
リナは神竜王達の方にその剣を手にしてない左手を向ける。あ、これはあれだな。いかん止めねば!
「金色魔王砲!」
リナの突き出した手から幾条の金色の光の帯が現れる。けど、僕は反応している。即座に飛び出し収納のポータルを射出し、その光の帯を余す事無く収納に入れる。あぶねー、せっかく間に合ったのに、また戦争を始めてしまう所だった。全く、リナは狂犬かよ。しかもリナはレベルアップして、魔王砲を同時に幾つも打てるようになってやがる。あと少しで取りこぼすとこだった。
「ザップ、何をしておる!」
リナの相変わらずの大声、耳が痛い。
「待て、リナ! 神竜王と戦うな!」
「ほう、そうか、お前が邪魔するのか。しょうがないな、神竜王の前にお前を叩きのめす!」
目を爛々と輝かせながら、リナは言い放った。
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